22 / 96
第1章 小説の第1章は大体説明みたいな感じだよね
22話 1人で動くジョージ
しおりを挟む
猫人族に押しかけられた数日後、俺は工業区にあるメイクさんの工房を訪ねてきた。
「じゃあ看板はその“ぷれおーぷん”とかいう日に設置しに行けばいいんだな?」
「えぇ、13日の土曜日にお願いします。それと、もしその後に予定を空けれるようでしたら、お客さんとしてうちの料理を食べていってくれませんか? プレオープンってのは実際に営業する前の予行練習みたいなものなので、付き合っていただくお礼にご馳走しますよ」
「ガッハッハ! そういうことなら遠慮なく馳走になるぞ! だが看板の設置作業があるから弟子を何人か連れていくことになるが大丈夫か?」
こらこら、笑い声に合わせて背中を叩くな!
「まさかお弟子さんだけ帰すわけにもいきませんし、こちらもいい練習になるので大歓迎ですよ」
「ガッハッハ! ありがとな! 弟子を4人連れていくから、お言葉に甘えて5人頼むぞ!」
だから痛いってば!!
「了解しました。こちらも看板を楽しみにしてます」
なんでも超力作の看板ができたみたいなんだけど、俺の希望でまだ見せてもらっていない。プレオープンの日まで我慢して、みんなと一緒に見たいからだ。
工業区を後にし、その足で商業ギルドへと向かう。
「オイさん、ご無沙汰してます」
先日対応してくれた老いぼ、、、オイ=ボレーヌ氏のカウンターが空いていたのでそちらへと進んだ。
「おぉ、久しぶりじゃのう」
「今月の15日から営業したいと思うので、商業ギルドへの登録をお願いします」
「相分かった。ではこの紙に店の名前と代表者の名前、簡単でかまわんから何の店かを記入しておくれ」
差し出されたのは、市販されている物とはまったく別物の高級そうな紙。書き心地がよくスラスラと書ける。
「ふむふむ、定食屋じゃな。店名は“フェーレース”、代表者はジョージじゃな?」
「はい、間違いありません」
不備がないことを確認したオイ氏は、何やらブツブツと呪文のような言葉を唱え始め、詠唱が終わると同時に記入した紙が光に包まれて消失した。
「いっ、今のは!?」
「ふぉっふぉっふぉ、初めて見る者はみんな驚くがな、これは契約魔法じゃ。お前さんの店を魔法で契約してギルドに登録したんじゃよ」
やっぱ魔法ってすげぇな!
パソコンとかでデータ管理できる世界じゃないけど、これはこれでハイテクだと思う。
「ちなみに記載内容に嘘や誤りがあった場合、今の魔法が受け付けられず契約できないんじゃよ」
「すげぇ!」
「ふぉっふぉっふぉ! あとは毎月の売上帳簿の提出と納税、1年以内に年会費の金貨12枚を納めてもらうだけじゃな」
「あっ、年会費は1年分払ってていいですか? 忘れっぽいんで」
「もちろんじゃよ」
こうして店の登録も無事に完了した。
店名の『フェーレース』というのは、ラテン語で『猫』を意味する言葉だ。
昔読んだ本に載ってたから何となく覚えてたんだけど、スタッフが猫人族ばかりでちょうどいいと思い、この名前にした。
そう! あの日俺は全員から「働かせてください!」という言葉を得ることができたんだ!!
不安に駆られていた俺はしばらくは反応できなくて立ち尽くしてたんだけど、落ち着いてからすぐに「こちらこそお願いします!」と笑顔で答えた。
登録が終わったばかりでプレオープンすらまだの店だけど、ここから夢の1歩が始まるんだ。
そのためにはこの老いぼ、、、オイ氏にも協力してもらわないといけない。
「オイさん、俺の店なんですが、13日に予行練習をやるんです。練習だからお代はいただきませんので、ギルド職員さんを何名か連れて食べに来てくれませんか? ちょっと珍しい定食屋を楽しんでもらえると思いますよ?」
俺がそう軽口を叩くと、温厚そうな笑みはそのままに、少し挑発的な言葉が返ってきた。
「ほほぅ、60年以上商業ギルドで働いておるワシに、商売に関して珍しいものを見せてくれるのかね?」
60年以上も働いていれば海千山千だろうけど、こと食文化においては異常なまでの発展をした日本から来た俺は、ここで引くわけにはいかない。
「えぇ、楽しみにしていてください」
「わかった。手空きの職員を連れてぜひお邪魔させてもらうぞ」
「心よりお待ちしております」
それから服屋のおばちゃんにも声をかけたりして、ついに異世界定食屋プロジェクト (仮) がスタートするのだった。
「じゃあ看板はその“ぷれおーぷん”とかいう日に設置しに行けばいいんだな?」
「えぇ、13日の土曜日にお願いします。それと、もしその後に予定を空けれるようでしたら、お客さんとしてうちの料理を食べていってくれませんか? プレオープンってのは実際に営業する前の予行練習みたいなものなので、付き合っていただくお礼にご馳走しますよ」
「ガッハッハ! そういうことなら遠慮なく馳走になるぞ! だが看板の設置作業があるから弟子を何人か連れていくことになるが大丈夫か?」
こらこら、笑い声に合わせて背中を叩くな!
「まさかお弟子さんだけ帰すわけにもいきませんし、こちらもいい練習になるので大歓迎ですよ」
「ガッハッハ! ありがとな! 弟子を4人連れていくから、お言葉に甘えて5人頼むぞ!」
だから痛いってば!!
「了解しました。こちらも看板を楽しみにしてます」
なんでも超力作の看板ができたみたいなんだけど、俺の希望でまだ見せてもらっていない。プレオープンの日まで我慢して、みんなと一緒に見たいからだ。
工業区を後にし、その足で商業ギルドへと向かう。
「オイさん、ご無沙汰してます」
先日対応してくれた老いぼ、、、オイ=ボレーヌ氏のカウンターが空いていたのでそちらへと進んだ。
「おぉ、久しぶりじゃのう」
「今月の15日から営業したいと思うので、商業ギルドへの登録をお願いします」
「相分かった。ではこの紙に店の名前と代表者の名前、簡単でかまわんから何の店かを記入しておくれ」
差し出されたのは、市販されている物とはまったく別物の高級そうな紙。書き心地がよくスラスラと書ける。
「ふむふむ、定食屋じゃな。店名は“フェーレース”、代表者はジョージじゃな?」
「はい、間違いありません」
不備がないことを確認したオイ氏は、何やらブツブツと呪文のような言葉を唱え始め、詠唱が終わると同時に記入した紙が光に包まれて消失した。
「いっ、今のは!?」
「ふぉっふぉっふぉ、初めて見る者はみんな驚くがな、これは契約魔法じゃ。お前さんの店を魔法で契約してギルドに登録したんじゃよ」
やっぱ魔法ってすげぇな!
パソコンとかでデータ管理できる世界じゃないけど、これはこれでハイテクだと思う。
「ちなみに記載内容に嘘や誤りがあった場合、今の魔法が受け付けられず契約できないんじゃよ」
「すげぇ!」
「ふぉっふぉっふぉ! あとは毎月の売上帳簿の提出と納税、1年以内に年会費の金貨12枚を納めてもらうだけじゃな」
「あっ、年会費は1年分払ってていいですか? 忘れっぽいんで」
「もちろんじゃよ」
こうして店の登録も無事に完了した。
店名の『フェーレース』というのは、ラテン語で『猫』を意味する言葉だ。
昔読んだ本に載ってたから何となく覚えてたんだけど、スタッフが猫人族ばかりでちょうどいいと思い、この名前にした。
そう! あの日俺は全員から「働かせてください!」という言葉を得ることができたんだ!!
不安に駆られていた俺はしばらくは反応できなくて立ち尽くしてたんだけど、落ち着いてからすぐに「こちらこそお願いします!」と笑顔で答えた。
登録が終わったばかりでプレオープンすらまだの店だけど、ここから夢の1歩が始まるんだ。
そのためにはこの老いぼ、、、オイ氏にも協力してもらわないといけない。
「オイさん、俺の店なんですが、13日に予行練習をやるんです。練習だからお代はいただきませんので、ギルド職員さんを何名か連れて食べに来てくれませんか? ちょっと珍しい定食屋を楽しんでもらえると思いますよ?」
俺がそう軽口を叩くと、温厚そうな笑みはそのままに、少し挑発的な言葉が返ってきた。
「ほほぅ、60年以上商業ギルドで働いておるワシに、商売に関して珍しいものを見せてくれるのかね?」
60年以上も働いていれば海千山千だろうけど、こと食文化においては異常なまでの発展をした日本から来た俺は、ここで引くわけにはいかない。
「えぇ、楽しみにしていてください」
「わかった。手空きの職員を連れてぜひお邪魔させてもらうぞ」
「心よりお待ちしております」
それから服屋のおばちゃんにも声をかけたりして、ついに異世界定食屋プロジェクト (仮) がスタートするのだった。
0
お気に入りに追加
1,140
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~
真心糸
ファンタジー
【あらすじ】
ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。
キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。
しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。
つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。
お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。
この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。
これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

社畜生活の果て、最後に師匠に会いたいと願った。
黒鴉宙ニ
ファンタジー
仕事、仕事、仕事。果てのない仕事に追われる魔法使いのモニカ。栗色の艶のあった髪は手入れができずにしなびたまま。師匠は北東のダンジョンへ行っており、その親友であるリカルドさんが上司となり魔物討伐を行う魔法部隊で働いている。
優しかったリカルドさんは冷たくなり、同僚たちとは仲良くなれない。そんな中、ようやく師匠帰還のめどがついた。そして最後に師匠へ良い知らせを送ろうと水竜の討伐へと向かった──。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる