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第1章 小説の第1章は大体説明みたいな感じだよね
21話 みんなの返事は
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「うんめぇぇぇ! 何だこれ!?」
「美味しい」
「ボアの肉ってこんなに美味しいの!?」
「お兄ちゃん、これ……」
「あぁ、すごく美味しいなミーニャ」
「ボアの肉が柔らかいだと!?」
「あらあら、これは下拵えを教えてもらいたいわねぇ」
「お父さん、お母さん、美味しいね!」
食事を開始すると口々に感想を言い合い、そうかと思えば無言で怒涛の勢いで食べる8人。あまりの勢いに圧倒されてしまう。
「ふぅぅぅ、美味しかった!」
えっ、誰? もう食ったの!?
やべぇ、急がないと!
「でね、食べ終わったら自分の食器をあそこの返却口ってとこに持って行くの!」
まだ食べ終わってない俺を気遣ってくれたミーニャが、食器返却についてみんなに説明してくれている。マジでいい子だ。働いてくれるって言ってもらえてよかった!
全員が食器を返却したタイミングで、何とか俺も食べ終えた。
「ミーニャ、説明ありがとう!」
「どういたしまして!」
「では皆さん、また厨房の中へお願いします」
ここから先はミーニャにも教えていないことなのでバトンタッチだ。
「皆さんが返却してくれた食器ですが、このシンクと呼ばれる場所に水を張って、割れないように注意しながらシンクの中に入れます。もし食べ残しがあればこっちのカゴに食べ残しを入れます」
説明途中に「あんなうめぇ料理食べ残すなんてありえねーよ!」とライオが笑ってたけど、ニャジーから「静かにしなさい!」と拳骨を落とされた。痛そう。
「このスポンジで表面を軽く擦りますが、こびりついたりしてない限りは表面の汚れをサッと落とすだけで大丈夫です。汚れを落とした食器をこのラックに並べて、ラックが一杯になったらこの機械の中にラックを入れて、フタを下ろすだけです」
説明を終えフタを下ろすと、シュゴーッと音が鳴って洗浄機が稼働し始め、みんなを盛大に驚かせる。
みんな洗浄機についてる小窓から代わる代わる洗浄の様子を見てたんだけど、トラージさんがその列から外れて近づいてきた。
「確かにこれは、いやこのお店の中については他言できませんな」
「ご理解いただきありがとうございます。怪しいことや危険なことはないのですが、もしも悪人が噂を聞きつけようものなら、欲に駆られて何をされるかわからないんで。そうなるとスタッフにも危害が及ぶので、箝口令を敷きたいのです」
「この店の設備には目を見張るものがあるので、おっしゃるように邪な考えを抱く輩が現れてもおかしくありませんな。いやはや、ジョージさんの聡明さには感服しました」
トラージさんが軽く頭を下げると、その後ろからキャトンちゃんとサッチェさんが現れる。
「キャトン、あなたはどうなの? ジョージさんのお店で働きたいのかしら?」
ここに至るまで、実はキャトンちゃんとまともに会話をしていない。
彼女の目に俺は、そして俺の店はどう映ったんだろう?
いや、キャトンちゃんだけじゃない。
さらにニャジー、ライオ、ジャックの3人も近づいてきた。
彼らの返事がノーであれば、ただオーバーテクノロジーな道具をひけらかしただけになるし、俺には口止めする力もない。
雇用が決まってる相手になら守秘義務やら何やら言い張れるけど、彼らはまだ職場見学レベルで、この後どう言われようが俺に強制する権限も力もない。
そんなことを考えてしまい、返事を聞くのが急に怖くなってきた。
足が震えているのがわかる。
耳を塞いで逃げ出したい気分だ。
「美味しい」
「ボアの肉ってこんなに美味しいの!?」
「お兄ちゃん、これ……」
「あぁ、すごく美味しいなミーニャ」
「ボアの肉が柔らかいだと!?」
「あらあら、これは下拵えを教えてもらいたいわねぇ」
「お父さん、お母さん、美味しいね!」
食事を開始すると口々に感想を言い合い、そうかと思えば無言で怒涛の勢いで食べる8人。あまりの勢いに圧倒されてしまう。
「ふぅぅぅ、美味しかった!」
えっ、誰? もう食ったの!?
やべぇ、急がないと!
「でね、食べ終わったら自分の食器をあそこの返却口ってとこに持って行くの!」
まだ食べ終わってない俺を気遣ってくれたミーニャが、食器返却についてみんなに説明してくれている。マジでいい子だ。働いてくれるって言ってもらえてよかった!
全員が食器を返却したタイミングで、何とか俺も食べ終えた。
「ミーニャ、説明ありがとう!」
「どういたしまして!」
「では皆さん、また厨房の中へお願いします」
ここから先はミーニャにも教えていないことなのでバトンタッチだ。
「皆さんが返却してくれた食器ですが、このシンクと呼ばれる場所に水を張って、割れないように注意しながらシンクの中に入れます。もし食べ残しがあればこっちのカゴに食べ残しを入れます」
説明途中に「あんなうめぇ料理食べ残すなんてありえねーよ!」とライオが笑ってたけど、ニャジーから「静かにしなさい!」と拳骨を落とされた。痛そう。
「このスポンジで表面を軽く擦りますが、こびりついたりしてない限りは表面の汚れをサッと落とすだけで大丈夫です。汚れを落とした食器をこのラックに並べて、ラックが一杯になったらこの機械の中にラックを入れて、フタを下ろすだけです」
説明を終えフタを下ろすと、シュゴーッと音が鳴って洗浄機が稼働し始め、みんなを盛大に驚かせる。
みんな洗浄機についてる小窓から代わる代わる洗浄の様子を見てたんだけど、トラージさんがその列から外れて近づいてきた。
「確かにこれは、いやこのお店の中については他言できませんな」
「ご理解いただきありがとうございます。怪しいことや危険なことはないのですが、もしも悪人が噂を聞きつけようものなら、欲に駆られて何をされるかわからないんで。そうなるとスタッフにも危害が及ぶので、箝口令を敷きたいのです」
「この店の設備には目を見張るものがあるので、おっしゃるように邪な考えを抱く輩が現れてもおかしくありませんな。いやはや、ジョージさんの聡明さには感服しました」
トラージさんが軽く頭を下げると、その後ろからキャトンちゃんとサッチェさんが現れる。
「キャトン、あなたはどうなの? ジョージさんのお店で働きたいのかしら?」
ここに至るまで、実はキャトンちゃんとまともに会話をしていない。
彼女の目に俺は、そして俺の店はどう映ったんだろう?
いや、キャトンちゃんだけじゃない。
さらにニャジー、ライオ、ジャックの3人も近づいてきた。
彼らの返事がノーであれば、ただオーバーテクノロジーな道具をひけらかしただけになるし、俺には口止めする力もない。
雇用が決まってる相手になら守秘義務やら何やら言い張れるけど、彼らはまだ職場見学レベルで、この後どう言われようが俺に強制する権限も力もない。
そんなことを考えてしまい、返事を聞くのが急に怖くなってきた。
足が震えているのがわかる。
耳を塞いで逃げ出したい気分だ。
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