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第1章 小説の第1章は大体説明みたいな感じだよね
19話 体験入店みたいなもんだな
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メイクさんに依頼した、来店から退店までの流れの説明板があれば便利なんだけど、発注したばかりだから当然まだ届いてない。
実際にやりながら口頭で説明するかな。
「ミーニャ、レジを頼めるか?」
「はいっ、大丈夫だと思います!」
食券代わりの食札もないけど、とりあえず今日のとこは練習だし紙でいいだろ。
ちなみにこの世界、低品質ではあるが紙は広く普及している。
「うちのお店に来たお客様には、このレジという受付で先にお支払いをしていただきます。計算が難しくならないように、料理の値段は銀貨1枚にしてます」
ついでにメニューは日替わり定食だけだということも説明する。
「代金を受け取ったら、このような札をお客様に渡します。今回は練習用に紙で作りましたが、本物は木の札です。食札と呼んでいます」
呼んでいるのは俺だけなんだけどね。
「あれ? にーちゃん、これどっちも同じ数字が書いてるぞ?」
「いいとこに気づいたな、ライオくん。これは同じ数字が書かれたものを2枚1組として扱います。1つはお客様に、もう1つは厨房に渡します。札を受け取った厨房の人はすぐに調理に取りかかり、番号順に料理を出していきます」
「できあがった料理を持って行くのだろう? となると足の悪いうちの娘にはやはり……」
トラージさんが申し訳なさそうに言うもんだから、キャトンちゃんも落ち込んでしまう。
しかしそんな心配がないのがうちの店のシステムだ。
「大丈夫ですよトラージさん、キャトンちゃん。料理ができあがったら受け渡し係の人が受け取って、札の番号でお客様を呼ぶんです」
「お客様を呼ぶ?」
「こんな感じですね。『1番の札をお持ちのお客様、料理ができました! 受け取り台に取りに来てください!』ってね」
「なんと! 客に取りに来させるのかね!?」
「そうです。こうすれば給仕係がいりませんし、料理を持っていくテーブルや渡す人を間違ったなんてこともありません。受け取りに来た人に札を返してもらって、番号が合ってればいいのですから」
「あらあら、それは画期的なやり方ねぇ」
しきりに感心するトラージさんとサッチェさん夫妻。ニャジーたち姉弟も「へぇぇ」とか「楽しそう!」と感心しているみたいだ。
「食べ終わった食器は、受け取り台の横の食器返却口に返してもらいます。返却もお客様にやってもらうのでやはり給仕係は必要ありません。うちのスタッフがホールに出るとすれば、お客様の流れが止まった時にテーブルを拭き上げてもらうぐらいですかね」
これは手が空いている人がやればいいし、拭き上げ用の布を各テーブルに置いておけば、優しい人ならテーブルの拭きあげまでしてくれるだろう。
「食器を返却しない人がいたら?」
ジャックからの質問だけど、雇用が決まってない今の時点では詳しく答えない方がいいかな。
ミーニャとの練習の中で、意図的に食器返却をしない人は『悪意のある人』と見なされ、【防犯の心得】スキルの効果でお店から出れなくなることがわかった。
「とある仕組みがありまして、食器返却までしっかりしないと退店できないようになってます。これは今は詳しくは話せませんので、うちの店で働くことが正式に決まった時にお話させていただきます」
「気になる」
ジャックは口数こそ少ないが、好奇心旺盛で頭の回転も早そうだな。
「料理は俺が作るつもりでしたが、働いてくれる人が多いようなら、そのうちの誰かに任せるかもしれません。うちで出す予定の料理は難しくないものばかりなので、料理経験の有無はあまり問わないつもりです」
揚げ物は火加減とか難しいかもしれないけど、最終的には慣れの問題だ。
「とりあえずザッと流れを説明しましたが、食札を使うシステムと料理の受け取りや食器の返却のシステムが珍しいぐらいだと思います」
「そうですね。斬新な発想ですけど、いずれは誰もが理解できるシステムだと思います」
「ヌコヌコさんの言うとおり、ここまでのシステムは真似しようとすればどのお店でも真似できます。しかしうちの店が抱える秘密はここからなのです。皆さん、厨房についてきてください」
この店の特異性はここからなんだよね。
実際にやりながら口頭で説明するかな。
「ミーニャ、レジを頼めるか?」
「はいっ、大丈夫だと思います!」
食券代わりの食札もないけど、とりあえず今日のとこは練習だし紙でいいだろ。
ちなみにこの世界、低品質ではあるが紙は広く普及している。
「うちのお店に来たお客様には、このレジという受付で先にお支払いをしていただきます。計算が難しくならないように、料理の値段は銀貨1枚にしてます」
ついでにメニューは日替わり定食だけだということも説明する。
「代金を受け取ったら、このような札をお客様に渡します。今回は練習用に紙で作りましたが、本物は木の札です。食札と呼んでいます」
呼んでいるのは俺だけなんだけどね。
「あれ? にーちゃん、これどっちも同じ数字が書いてるぞ?」
「いいとこに気づいたな、ライオくん。これは同じ数字が書かれたものを2枚1組として扱います。1つはお客様に、もう1つは厨房に渡します。札を受け取った厨房の人はすぐに調理に取りかかり、番号順に料理を出していきます」
「できあがった料理を持って行くのだろう? となると足の悪いうちの娘にはやはり……」
トラージさんが申し訳なさそうに言うもんだから、キャトンちゃんも落ち込んでしまう。
しかしそんな心配がないのがうちの店のシステムだ。
「大丈夫ですよトラージさん、キャトンちゃん。料理ができあがったら受け渡し係の人が受け取って、札の番号でお客様を呼ぶんです」
「お客様を呼ぶ?」
「こんな感じですね。『1番の札をお持ちのお客様、料理ができました! 受け取り台に取りに来てください!』ってね」
「なんと! 客に取りに来させるのかね!?」
「そうです。こうすれば給仕係がいりませんし、料理を持っていくテーブルや渡す人を間違ったなんてこともありません。受け取りに来た人に札を返してもらって、番号が合ってればいいのですから」
「あらあら、それは画期的なやり方ねぇ」
しきりに感心するトラージさんとサッチェさん夫妻。ニャジーたち姉弟も「へぇぇ」とか「楽しそう!」と感心しているみたいだ。
「食べ終わった食器は、受け取り台の横の食器返却口に返してもらいます。返却もお客様にやってもらうのでやはり給仕係は必要ありません。うちのスタッフがホールに出るとすれば、お客様の流れが止まった時にテーブルを拭き上げてもらうぐらいですかね」
これは手が空いている人がやればいいし、拭き上げ用の布を各テーブルに置いておけば、優しい人ならテーブルの拭きあげまでしてくれるだろう。
「食器を返却しない人がいたら?」
ジャックからの質問だけど、雇用が決まってない今の時点では詳しく答えない方がいいかな。
ミーニャとの練習の中で、意図的に食器返却をしない人は『悪意のある人』と見なされ、【防犯の心得】スキルの効果でお店から出れなくなることがわかった。
「とある仕組みがありまして、食器返却までしっかりしないと退店できないようになってます。これは今は詳しくは話せませんので、うちの店で働くことが正式に決まった時にお話させていただきます」
「気になる」
ジャックは口数こそ少ないが、好奇心旺盛で頭の回転も早そうだな。
「料理は俺が作るつもりでしたが、働いてくれる人が多いようなら、そのうちの誰かに任せるかもしれません。うちで出す予定の料理は難しくないものばかりなので、料理経験の有無はあまり問わないつもりです」
揚げ物は火加減とか難しいかもしれないけど、最終的には慣れの問題だ。
「とりあえずザッと流れを説明しましたが、食札を使うシステムと料理の受け取りや食器の返却のシステムが珍しいぐらいだと思います」
「そうですね。斬新な発想ですけど、いずれは誰もが理解できるシステムだと思います」
「ヌコヌコさんの言うとおり、ここまでのシステムは真似しようとすればどのお店でも真似できます。しかしうちの店が抱える秘密はここからなのです。皆さん、厨房についてきてください」
この店の特異性はここからなんだよね。
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