異世界でホワイトな飲食店経営を

第１章 小説の第１章は大体説明みたいな感じだよね

17話 ジョージの男気

「どどどどどど、どうし、どうして、どどうどうどう……」

　予想外すぎた返事に、まともに理由を尋ねることができない。
今日までは期待しすぎない程度に期待してた程度だったけど、説明をしている中でのミーニャの反応は悪くなかったから、働くのを了承してもらえるって思っちゃったから……。

「ジョージさん、落ち着いてください！」

　ひたすら「どう」ばかり繰り返す俺に、ミーニャが少し声を張り上げた。

「この前お話をいただいた時からこのお店で働きたいって思ってたし、今日の話を聞いてもっと働きたくなりました」

「なななな、なら、なら、どどど、どうし、どうして？」

　ようやくまともに (？) 尋ねることができた。

「さっき説明してもらったレジのお仕事って、足が悪い子でもできないですか？」

「へっ？」

「私の友達に生まれつき足が悪い子がいるんです。キャトンちゃんっていうんですけど、足が悪いから早く走れないし、重い物もあまり持てません」

　さらに話を聞いてみると、足が悪く非力なので家業である農業の手伝いもあまりできず、引きこもって細々と手芸品を作っているらしい。
しかしその手芸品も売れ行きがよくなくて、家族に迷惑をかけていると思って引っ込み思案な性格になってしまったとのこと。

「さっきのジョージさんの説明を聞いて、このお仕事ならキャトンちゃんも頑張れるんじゃないかって思ったんです……」

　これはマズい、この流れはマズいぞ。

「だからもし私を雇ってくれるのでしたら、代わりにキャトンちゃんを雇っていただけないでしょうか！？」

　ポロポロと涙を流しながら深々と頭を下げるミーニャ。
この展開は俺にとっていただけない流れだ。

　なぜなら……。

「ぞん゛な゛ばな゛じ、ずる゛い゛ぞぉぉぉぉぉ！」

　何を隠そう、俺は感動的な話に弱い人間なのだ！

「ジョ、ジョージさん……っ！？」

　ボロボロと涙を流してしまう。やめて、見ないで！

　足が悪くて家の手伝いができないから、手芸品を作って何とか頑張るキャトンちゃん。
そんな頑張り屋さんの雇用を誰が断ることができようか！

　だけど俺には言わなければならないことがある。
はっきり、しっかり、きっぱりと言わなければならない。

「ダメだ！」

　泣き声だが力強い俺の返事にミーニャはショックを受けたみたいだけど、すぐに俺の目を見て頭を下げた。

「そうですよね。いきなり知らない子の話をされても……」

　ミーニャは再び泣き出してしまうが、そんなことではない！

「違う！ そうじゃない！ ミーニャが働きたい気持ちを抑えるのがダメだ！ キャトンちゃんも働けるなら働けばいい！」

　うん、自分で言ってて何だが支離滅裂だな！

「えっと、それはどういう……」

　ほら見ろ、可愛いミーニャが困惑しているではないか！

「ミーニャもキャトンちゃんも、一緒に働けばいいんだ！ さっきも話したけど、レジだけじゃなくて料理を渡す係や洗い物の係、料理を手伝ってくれる人だって必要だ！」

「……っていうことは？」

「ミーニャにも働いてもらいたいし、キャトンちゃんだけじゃなくて仕事に困っている子、全員連れてきなさい！」

　こうなったらまとめて面倒みてやらぁ！