異世界でホワイトな飲食店経営を

視世陽木

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第1章 小説の第1章は大体説明みたいな感じだよね

10話 猫耳少女との運命の出会い

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「こ、こ、こ、こんにちは…… ハァッハァッ」

「い、いらっしゃいませ……」

 息を切らして登場した俺に盛大に驚きながら、それでも猫耳の少女は震える声で挨拶をしてくれた。
猫人族というやつかな? ちょっとテンションが上がってしまう。

「ハァッハァッ、ご、ごめんね驚かせて」

「いえ……」

 猫耳少女に欲情しているヤバいやつだと思われないか心配だな。
当事者の少女は、言葉では気を遣ってくれているが表情はこれでもかと引きつっている。

 これ以上俺が言葉を紡いでも怯えさせるだけだろうから、まずは並べられている野菜を検分することにした。

(これは…… 思った以上だな)

 数種類の野菜が並べられていたが、根菜類はどれも薄っすら土がついたままで、葉野菜もわずかに残された根の部分に土がついている。

「や、やっぱり汚いですよね、こんな野――」

「素晴らしい!」

「ヒィィィッ!」

 思わず力強く叫んでしまい、野菜売りの少女を再び盛大に驚かせてしまった。

「急に大声出してごめんよ! あまりにも売られている野菜が素晴らしくて」

 まだ興奮冷めやらぬ俺の声に、少女はキョトンとする。
人のことは言えないが、表情豊かな子である。

「みんな、うちの野菜は汚いって言うよ? お兄ちゃんが土付きのままで持っていけって言うから洗わずに持ってきてるだけで……」

「なるほど、お兄さんはわかってる人なんだね」

「え? どういうことですか?」

「ここで話すと長くなりそうだな……。この野菜、全部俺が買ってもいいかい?」

「えぇぇっ!? 全部ですか!?」

「あっ、さすがに全部は困るかな?」

「いっ、いえ、これだけ値段を下げても夕暮れまでに数えるほどしか売れないので、あの、その、全部買っていただけるなら助かりますけど……」

 普段の売れ行きが決して良いものではない分、なおさらキツネにつままれたような気持ちなんだろう。

「ちなみに今お兄さんは何をしてるんだい?」

「畑に戻って仕事してます。朝は一緒に荷車を引いてきて、帰りにまた迎えに来てくれるんです」

「そうかそうか。申し訳ないんだけど、俺の店に運ぶのを手伝ってくれないかい? そこで……えっと、君、名前を聞いてもいいかい? 俺はジョージっていうんだけど」

 名前を知らないことには話が進めにくいので、先に名乗って聞き出すことにした。

「私、ミーニャって言います!」

「ミーニャか。俺の店に野菜を運んだら、一旦家に帰って仕事終わりのお兄さんを連れて戻ってきてくれないか? 野菜が全部売れたこと、あえて土付きで野菜を出荷している理由がわかる人が現れたこと、そして今後も継続して野菜を正規の価格で買い取りたい人が現れたってことを、しっかり説明するんだよ?」

「えっ? わ、わかりました……」

 本当にわかっているのか疑わしいほどミーニャは動揺していたが、それでもしっかりとした手つきで野菜をまとめてくれた。
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