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第1章 小説の第1章は大体説明みたいな感じだよね
2話 スキル確認と小指の痛み
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あれから必死に女神様を宥めすかそうと頑張ったものの、結局機嫌は戻らなかった。
機嫌が戻らないどころか、挙句の果てに「念願の自分のお店をあげるから、あとは好きにしてください!」と早口で捲し立てられ、神界らしき場所から雑に強制転移させられた。
「ここが俺の店か」
キョロキョロと辺りを見回すと、石造りの建物の中だった。
木製のイスやテーブル、カウンターを見るに、どうやら飲食店のようだ。
転移前の女神様の「念願の自分のお店をあげるから~」という言葉からするに、転移先で飲食店の経営をさせてくれることが何となく伝わる。
しかも自己都合で転移させることに後ろめたさがあるのか、何だかんだでしっかりスキルも付与してくれていた。
「さてさて、どんなスキルを得られたんだろうか?」
転移中、女神様がスキルについての説明をダイレクトに頭に叩き込んでくれた。ぞんざいすぎるイメージだったけど。
転移先の世界には、ステータスという概念はないがスキルだけは認識できるらしい。
かなり重要な情報だからちゃんと説明してほしかったけど、どうやら俺が悪いみたいなのでしょうがない。
スキルは、何となく「これ得意かも」と感じて習得するものもあれば、得手不得手関係なく、長年従事していて自然と得られるものもあるらしい。
「スキルの希少性に差はあっても、スキルを持たない人間はいないんだろうな」
俺には女神様からもらったスキルがあるけど、それとは別のスキルも修得できるってことだ。
もう34歳だというのに、少年のようにワクワクしてしまう。
早速スキルを思い浮かべてみると、6つのスキルを感じ取ることができた。抑えきれぬ興奮と共にその内容が頭に浮かんでくる。
【料理上手】
スピーディーに料理ができる。味の向上などはなし。
【買い物上手】
地球の商品を1割引で購入できる。調味料限定。
【防犯の心得】
神の加護で悪意を持った人はお店に入れない。
【共通言語】
魔物や動物を除くすべての種族と会話ができ、文字の読み書きも可能になる。
【時間管理】
現在の日時がわかる。アラームなどの機能は一切ない。
【悪口禁止】
神の悪口を言うと足の小指を強烈にぶつけてしまう。
「微妙なスキルだなイテッ! ……悪口の範囲、広すぎない?」
スキルを確認して思わず愚痴った瞬間、不思議な力で自然と足が動き、壁に小指を強打させられた。
どうやら、嬉しくも何ともない、むしろ不必要な【悪口禁止】スキルが発動したようで、本当にスキルがある世界なんだと小指の痛みをもって実感した。
傷みが落ち着いたので改めてスキルを確認すると、神界での俺の所業を根に持っているのか、どのスキルも便利なようで少し不便なところがある。
しかもその不便さが後付けっぽいので、意図的に意地悪されてるんだろう。
1つ目の【料理上手】スキル。
料理のスピードが上がるのは素直に嬉しいけど、それは経験を積めば自然と向上していく。どうせなら味の向上の補正がかかる効果があった方が助かる。
2つ目の【買い物上手】は、異世界物のテンプレ『香辛料が高級品』を回避できる素晴らしいスキルだけど、どうせなら調味料以外も買い物できるようにしてほしかった。しかも値引きも1割だから、助かりはするけどケチさ加減が気になってしょうがない。
3つ目の【防犯の心得】は、ひ弱な身体のまま転移してきた俺には本当に助かるスキルだ。
しかしよく考えてみると、身の安全が保証されるのは店内限定。つまり、屈強な冒険者やならず者に店の外で絡まれたらアウト、という落とし穴がある。
「共通言語は純粋に助かるけど、【時間管理】にはアラーム機能付けてくれた方が便利だし、【悪口禁止】はホントにいらないスキ…イッテェ!」
またも自然と足が動き、柱へと強烈な小指キックが繰り出される。
やっぱり悪口の範囲はかなり広いみたいで、しかもシャレにならないぐらい痛い。
マイナスイメージになるようなことは口にしない方が無難だと、1つ賢くなった。
機嫌が戻らないどころか、挙句の果てに「念願の自分のお店をあげるから、あとは好きにしてください!」と早口で捲し立てられ、神界らしき場所から雑に強制転移させられた。
「ここが俺の店か」
キョロキョロと辺りを見回すと、石造りの建物の中だった。
木製のイスやテーブル、カウンターを見るに、どうやら飲食店のようだ。
転移前の女神様の「念願の自分のお店をあげるから~」という言葉からするに、転移先で飲食店の経営をさせてくれることが何となく伝わる。
しかも自己都合で転移させることに後ろめたさがあるのか、何だかんだでしっかりスキルも付与してくれていた。
「さてさて、どんなスキルを得られたんだろうか?」
転移中、女神様がスキルについての説明をダイレクトに頭に叩き込んでくれた。ぞんざいすぎるイメージだったけど。
転移先の世界には、ステータスという概念はないがスキルだけは認識できるらしい。
かなり重要な情報だからちゃんと説明してほしかったけど、どうやら俺が悪いみたいなのでしょうがない。
スキルは、何となく「これ得意かも」と感じて習得するものもあれば、得手不得手関係なく、長年従事していて自然と得られるものもあるらしい。
「スキルの希少性に差はあっても、スキルを持たない人間はいないんだろうな」
俺には女神様からもらったスキルがあるけど、それとは別のスキルも修得できるってことだ。
もう34歳だというのに、少年のようにワクワクしてしまう。
早速スキルを思い浮かべてみると、6つのスキルを感じ取ることができた。抑えきれぬ興奮と共にその内容が頭に浮かんでくる。
【料理上手】
スピーディーに料理ができる。味の向上などはなし。
【買い物上手】
地球の商品を1割引で購入できる。調味料限定。
【防犯の心得】
神の加護で悪意を持った人はお店に入れない。
【共通言語】
魔物や動物を除くすべての種族と会話ができ、文字の読み書きも可能になる。
【時間管理】
現在の日時がわかる。アラームなどの機能は一切ない。
【悪口禁止】
神の悪口を言うと足の小指を強烈にぶつけてしまう。
「微妙なスキルだなイテッ! ……悪口の範囲、広すぎない?」
スキルを確認して思わず愚痴った瞬間、不思議な力で自然と足が動き、壁に小指を強打させられた。
どうやら、嬉しくも何ともない、むしろ不必要な【悪口禁止】スキルが発動したようで、本当にスキルがある世界なんだと小指の痛みをもって実感した。
傷みが落ち着いたので改めてスキルを確認すると、神界での俺の所業を根に持っているのか、どのスキルも便利なようで少し不便なところがある。
しかもその不便さが後付けっぽいので、意図的に意地悪されてるんだろう。
1つ目の【料理上手】スキル。
料理のスピードが上がるのは素直に嬉しいけど、それは経験を積めば自然と向上していく。どうせなら味の向上の補正がかかる効果があった方が助かる。
2つ目の【買い物上手】は、異世界物のテンプレ『香辛料が高級品』を回避できる素晴らしいスキルだけど、どうせなら調味料以外も買い物できるようにしてほしかった。しかも値引きも1割だから、助かりはするけどケチさ加減が気になってしょうがない。
3つ目の【防犯の心得】は、ひ弱な身体のまま転移してきた俺には本当に助かるスキルだ。
しかしよく考えてみると、身の安全が保証されるのは店内限定。つまり、屈強な冒険者やならず者に店の外で絡まれたらアウト、という落とし穴がある。
「共通言語は純粋に助かるけど、【時間管理】にはアラーム機能付けてくれた方が便利だし、【悪口禁止】はホントにいらないスキ…イッテェ!」
またも自然と足が動き、柱へと強烈な小指キックが繰り出される。
やっぱり悪口の範囲はかなり広いみたいで、しかもシャレにならないぐらい痛い。
マイナスイメージになるようなことは口にしない方が無難だと、1つ賢くなった。
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