あなたがくれた奇跡

彰野くみか

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第一章

発覚③

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 翌日。私の心とは打って変わって、見事な快晴の今日……。
 なんで空は青いんだろう? なんでこんなにも明るいんだろう?
 考えても出ない答えに、私は……。
「……っ」
 さっき、病院で告げられた言葉を思い出して、涙が溢れてきた。最近、泣いてばっかだ……私っ。バッグのポケットで震え出すスマートフォンを見ると、健ちゃんから十件目のメッセージが届いていた。
【大丈夫か?】
 大体がそんな内容で、それを見ると、また泣けて来た。
「大丈夫じゃ……ないよ……っ」
 ボロボロと零れる涙は止まる事を知らなくて、私はその場に座り込んで泣いた。

     ***

「ただいま……」
 誰も居ない家に入ると、私はベッドに直行した。
「どうしよう」
 今の私は、とても海羽のお迎えに行ける状態じゃなかった。こういう時に限って、泉海はバイトがあるし……。
 そう思って、連絡した先は、私のお義母さん──健ちゃんのお母さんだ。

 無事にお迎えを頼むと、とりあえず一安心して、そのまま眠りに就いた──……。

 目が覚めると、午後四時を回っていて、海羽と海羽を迎えに行ったお義母さんが家に居た。
「起きた?」
 私がリビングに行くと、優しく訊いてくれるお義母さん……。既に今日の晩ご飯まで用意してくれていて、少し驚いた。
「体調はどう?」
「あっ大丈夫」
 お義母さんには、病み上がりで体調が悪いという事で、海羽のお迎えに行ってもらっていた。まだ、今日の事は話していない。やっぱり話すなら、一番に健ちゃんに話さなきゃだと思うから……。
 ──だけど。本当の事を伝えるか悩んでいたら、また目眩がしてきて、その場に倒れ込んだ。
「由香理っ!?」
「大丈夫、ちょっと立ちくらみしただけだから……」
 お義母さんに支えられて、立ち上がると、再び部屋に行き、ベッドに蹲った。

 健ちゃんからのメッセージは、二十五件を超えていた。

     ***

 しばらくすると、勢いよくドアの開き音がして、健ちゃんが帰って来たんだ……ぼんやりと思った。
 でも、顔を見るのが怖くて、私はベッドから顔をあげられないでいた。
「どうだった……?」
 健ちゃんが恐る恐る、といった感じで訊いてきた。
 笑顔で「なんでもないよ」……って、言いたいけど、うまく笑顔が作れなくて、疲れた顔のまま、「気のせいだった」と言った。

 ──嘘……吐いてしまった。

 だけど健ちゃんは、疑いの眼差しを向けて、「本当に??」と続けた。
 お願い……詮索しないで……? お願いだから……。
「……うん。なんで嘘つく必要ごあるの?」
 これ以上、聞かれないように、少し苛立った口調で言った。だけど、健ちゃんは、私の手を取ると、「もう一回、言ってみて?」と、まだ疑っていた。
「本当になんともないなら、俺の目を見て言って?」
「…………っ」
「本当なら、俺の目を見て言えるだろ?」
 私の手を握る健ちゃんの手が、小刻みに震えていて、これ以上隠しきれないよ……。
「……本当、だよ?」
 目を見て言うどころか、思いきり伏し目がちに言ってしまった。
 確信した健ちゃんは、私の頭をクシャッとした。
「お前は本当に嘘が下手だな……」
「……え?」
 私の頬を両手で包むと、軽く触れる程度のキスが降ってきた。
「…………っうっ……ふぇっ」
 健ちゃんの前で泣かないように、必死で堪えていた大粒の涙が、ボロボロと溢れた。その涙の粒を、健ちゃんは指で拭った。
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