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第3章 複雑ダンジョン~迷路地帯
第28話 第2の行き止まりの奥にあるもの
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「それじゃ、撃つわよ」
そう言って、ラミアは目を閉じて唱和を始めた。
「我に眠りし、高貴なる血よ。今こそ我に新たなる力を与えたまえ。〝豪爆〟!」
その瞬間、ラミアの手に見たことのない魔法があった。
「消えなさい!」
ラミアが行き止まりに向かって投げる。壁は霧散するが、破壊されたような感じはいない。〝豪爆〟は吸血鬼の中でも高位魔法だ。威力はかなりなもの。
「なんで?」
『誰だ? 我の眠りを覚ますものは? お前たちか? ならば、お前たちを食らいつくしてやろう!』
「私の魔法で」
ラミアが対抗しようとする。
「待て!」
『我に歯向かうか、小娘。お前から血祭りに上げてやろう』
その瞬間、目の前に巨大な手が現れ、ラミアに迫る。
「なんなの?」
『洗礼を受けるが良い』
手の爪が振り下ろされる。
「あがぁ!」
ラミアの体は切り裂かれ、血が流れる。
「私は、死なないんだから……」
「もう、いい。ラミア!」
ラミアからはほとんど生気が感じられない。息をするのがやっとなのだ。
「クリス、回復を!」
「ごめんなさい。これ程深いと、回復は難しいわ」
クリスが首を振る。
「そんな」
「マコト、あとはお願いね」
ラミアが力なく呟く。
「死ぬな、ラミア」
「なんでこんな魔物が。マコト、退くのじゃ」
ウンディーネがラミアに手を当てる。ラミアの傷はみるみる塞がっていく。
「ウンディーネ」
「しゃべるでない。休んどるんじゃ」
『ウンディーネ、貴様なぜ人間と共におる?』
大きい手はウンディーネに話しかける。
「人間いやマコトに力を貸したからだ」
『小癪な。人間の小童が来るところでない。マコトと申したか? 今はその命預けておこう。次会うときはその時こそ終わりだと思え』
大きい手は消えた。
「あれはなんだったんだ?」
「魔王よ」
ウンディーネが答える。
「魔王? なんで魔王が?」
「ううっ。ここは魔王が作った場所だからよ」
ラミアが起き上がって話す。
「ラミア、無理するな」
「血を」
「ああ」
マコトは腕を差し出す。
「首が一番だけど、我慢するわ」
ラミアは力を取り戻した。
「ミアも吸血鬼の私もウンディーネも元は魔王と同じ種族。魔族と呼ばれるね。エルフは人間側だったけど。だけど、魔王が力を増したことにより、別々になったの」
ラミアがマコトに解説する。
「人間の仲間になって良かったのか?」
「ダメと言う決まりはない。自由」
ミアが代わりに答える。
「確かにな。魔王に付く必要はない」
ミーナもうんざりと言う感じで同意する。
「マコトにお礼しなくちゃね」
「俺は何も」
「私のそばにいてくれたわ」
そう言って、ラミアはマコトにキスをする。
「私の王子さまね」
照れるラミア。
そう言って、ラミアは目を閉じて唱和を始めた。
「我に眠りし、高貴なる血よ。今こそ我に新たなる力を与えたまえ。〝豪爆〟!」
その瞬間、ラミアの手に見たことのない魔法があった。
「消えなさい!」
ラミアが行き止まりに向かって投げる。壁は霧散するが、破壊されたような感じはいない。〝豪爆〟は吸血鬼の中でも高位魔法だ。威力はかなりなもの。
「なんで?」
『誰だ? 我の眠りを覚ますものは? お前たちか? ならば、お前たちを食らいつくしてやろう!』
「私の魔法で」
ラミアが対抗しようとする。
「待て!」
『我に歯向かうか、小娘。お前から血祭りに上げてやろう』
その瞬間、目の前に巨大な手が現れ、ラミアに迫る。
「なんなの?」
『洗礼を受けるが良い』
手の爪が振り下ろされる。
「あがぁ!」
ラミアの体は切り裂かれ、血が流れる。
「私は、死なないんだから……」
「もう、いい。ラミア!」
ラミアからはほとんど生気が感じられない。息をするのがやっとなのだ。
「クリス、回復を!」
「ごめんなさい。これ程深いと、回復は難しいわ」
クリスが首を振る。
「そんな」
「マコト、あとはお願いね」
ラミアが力なく呟く。
「死ぬな、ラミア」
「なんでこんな魔物が。マコト、退くのじゃ」
ウンディーネがラミアに手を当てる。ラミアの傷はみるみる塞がっていく。
「ウンディーネ」
「しゃべるでない。休んどるんじゃ」
『ウンディーネ、貴様なぜ人間と共におる?』
大きい手はウンディーネに話しかける。
「人間いやマコトに力を貸したからだ」
『小癪な。人間の小童が来るところでない。マコトと申したか? 今はその命預けておこう。次会うときはその時こそ終わりだと思え』
大きい手は消えた。
「あれはなんだったんだ?」
「魔王よ」
ウンディーネが答える。
「魔王? なんで魔王が?」
「ううっ。ここは魔王が作った場所だからよ」
ラミアが起き上がって話す。
「ラミア、無理するな」
「血を」
「ああ」
マコトは腕を差し出す。
「首が一番だけど、我慢するわ」
ラミアは力を取り戻した。
「ミアも吸血鬼の私もウンディーネも元は魔王と同じ種族。魔族と呼ばれるね。エルフは人間側だったけど。だけど、魔王が力を増したことにより、別々になったの」
ラミアがマコトに解説する。
「人間の仲間になって良かったのか?」
「ダメと言う決まりはない。自由」
ミアが代わりに答える。
「確かにな。魔王に付く必要はない」
ミーナもうんざりと言う感じで同意する。
「マコトにお礼しなくちゃね」
「俺は何も」
「私のそばにいてくれたわ」
そう言って、ラミアはマコトにキスをする。
「私の王子さまね」
照れるラミア。
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