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無二-only-6*
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会えなかった好きで仕方ない恋人が目の前にいる。それがどんなに幸せなのか今日思い知らされた。そして、突然の別れになるとどんなに辛いかも……。
仕事でいろんな現場に足を運び、いろんな人に会っているのに、どれも違うのは誰の代えにもならない恋人がいるから。
唯一の彼を愛している。
好きだと言ってくれる彼が愛おしい。
「んん…っ、ぁ、ん……」
上半身の服を脱がされて、背面の肌に触れているフローリングの床が冷たい。背中に感じる無機質な温度を感じさせないほど、樹矢からの止まらない愛撫を優しく受ける。
胸の突起物を樹矢の細く長い指で撫でられ、朱斗は軽い刺激を与えられていく。今日はされるがままじゃなく、自分から快感を与えて気持ち良くさせたくて寝間着だった彼のスウェットの中に手を忍ばせ、下着越しにそれを触る。
(もう、結構硬い……)
その生理的反応は朱斗に興奮している事を表していると思うと、途端に恥ずかしくなりもう片方の空いている手を自分の顔に乗せて目が合わないように隠した。
「可愛いよ。朱ちゃんの声、聞かせて」
白い朱斗の素肌にキスを落としていく。時折チクリと痛い刺激も気持ちよくて嬉しかった。
視界を自身で遮っているせいか、いつも以上に敏感になっている。
「ここ。ぐちょぐちょじゃん」
「ん、ん……っ、」
朱斗も彼のことを言えないくらい硬く反応していた。しかも、先端から止まらない愛液が流れている。
「うるさいとか、早くしろとか言ってる口の悪い朱ちゃんも好きだけど、今日みたいに甘えたくて仕方ないって感じの朱ちゃんは愛くるしいよ」
包んでくれた。長い腕を回して少し朱斗に体重を預けて、そっとその身体を包んだ。
「もっと、気持ちよくなろうね」
その囁きで、彼らは二人で快感へとより深くゆっくり沈んでいった。
___
「で、朱ちゃんはどんな男の人と一緒にいたのかな?」
「……え」
たまに出る樹矢の鋭い直感が、突然現れて包まっていた毛布の中で固まった。
「匂いが違ったから。会ってない間に香水変えた?って思ったりしたけど、家の中の匂い変わらないし変えた様子も無かったし……けど、まさか浮気なんてしてないもんね?」
ニッコリと微笑み放った最後の一言に、背筋がぞわっとするなにか恐怖を感じた。
「う、浮気なんかしてねぇ。ちょっと、んー。まぁ、さ。色々とあって……」
その色々を朱斗は話しだした。途中、小刻みに震えていた指先を見て悟ったように樹矢は大きな手のひらで優しく握ってくれた。
温かさに安心した。同時に結埜は、愛する人の温もりをもう感じることは出来ないんだと考えてしまい、心が寂しくなった。
「朱ちゃん。俺、また撮影で家あけるけど大丈夫?」
「仕事なんだし、そんなん仕方ねぇだろ」
大丈夫なんて言えなかった。彼の代わりは彼しかいない。もし居なくなったら俺はどう生きるんだろう。樹矢と出会う前に戻るんだろうか。そんな簡単に戻れるんだろうか。カメラは好きでも、好きな人が撮れなくなってしまったら、生きていけるんだろうか。
思考がぐるぐると頭の中で廻っていく。答えは見つからないままifの世界が創造されていく。そこにいる朱斗はどれもいつも幸せそうに笑ってはいなかった。
「いつでも考えてるよ。俺は朱ちゃんこと、死ぬほど好き。だから……もし俺が先に死んだら、朱ちゃんも死んでくれる?」
その恐怖にも聞こえる言葉は、一人にしないから独りにしないでと訴えているようだった。死んだ先でも樹矢は独りぼっちになってしまう。残された朱斗も一人だ。
「うん。約束。だから早く帰ってこい。ドラマの撮影が無事に終わるのおとなしく待ってる」
「頑張るね」
抱きしめ合って眠りについた。久しぶりに感じた離れない温もりにぐっすりと深く眠れた気がした。目が覚めるとまだ樹矢は家にいた。が、お互いに「いってらっしゃい」と言い合って、俺は仕事へ向かい帰宅するともう居なかった。
「待ってるから。樹矢」
代わりの無い相手と育む愛は代わりの効かない唯一無二なんだ。
空を見上げて未来で出会う自分たちと周りの笑顔を願った。
end.
仕事でいろんな現場に足を運び、いろんな人に会っているのに、どれも違うのは誰の代えにもならない恋人がいるから。
唯一の彼を愛している。
好きだと言ってくれる彼が愛おしい。
「んん…っ、ぁ、ん……」
上半身の服を脱がされて、背面の肌に触れているフローリングの床が冷たい。背中に感じる無機質な温度を感じさせないほど、樹矢からの止まらない愛撫を優しく受ける。
胸の突起物を樹矢の細く長い指で撫でられ、朱斗は軽い刺激を与えられていく。今日はされるがままじゃなく、自分から快感を与えて気持ち良くさせたくて寝間着だった彼のスウェットの中に手を忍ばせ、下着越しにそれを触る。
(もう、結構硬い……)
その生理的反応は朱斗に興奮している事を表していると思うと、途端に恥ずかしくなりもう片方の空いている手を自分の顔に乗せて目が合わないように隠した。
「可愛いよ。朱ちゃんの声、聞かせて」
白い朱斗の素肌にキスを落としていく。時折チクリと痛い刺激も気持ちよくて嬉しかった。
視界を自身で遮っているせいか、いつも以上に敏感になっている。
「ここ。ぐちょぐちょじゃん」
「ん、ん……っ、」
朱斗も彼のことを言えないくらい硬く反応していた。しかも、先端から止まらない愛液が流れている。
「うるさいとか、早くしろとか言ってる口の悪い朱ちゃんも好きだけど、今日みたいに甘えたくて仕方ないって感じの朱ちゃんは愛くるしいよ」
包んでくれた。長い腕を回して少し朱斗に体重を預けて、そっとその身体を包んだ。
「もっと、気持ちよくなろうね」
その囁きで、彼らは二人で快感へとより深くゆっくり沈んでいった。
___
「で、朱ちゃんはどんな男の人と一緒にいたのかな?」
「……え」
たまに出る樹矢の鋭い直感が、突然現れて包まっていた毛布の中で固まった。
「匂いが違ったから。会ってない間に香水変えた?って思ったりしたけど、家の中の匂い変わらないし変えた様子も無かったし……けど、まさか浮気なんてしてないもんね?」
ニッコリと微笑み放った最後の一言に、背筋がぞわっとするなにか恐怖を感じた。
「う、浮気なんかしてねぇ。ちょっと、んー。まぁ、さ。色々とあって……」
その色々を朱斗は話しだした。途中、小刻みに震えていた指先を見て悟ったように樹矢は大きな手のひらで優しく握ってくれた。
温かさに安心した。同時に結埜は、愛する人の温もりをもう感じることは出来ないんだと考えてしまい、心が寂しくなった。
「朱ちゃん。俺、また撮影で家あけるけど大丈夫?」
「仕事なんだし、そんなん仕方ねぇだろ」
大丈夫なんて言えなかった。彼の代わりは彼しかいない。もし居なくなったら俺はどう生きるんだろう。樹矢と出会う前に戻るんだろうか。そんな簡単に戻れるんだろうか。カメラは好きでも、好きな人が撮れなくなってしまったら、生きていけるんだろうか。
思考がぐるぐると頭の中で廻っていく。答えは見つからないままifの世界が創造されていく。そこにいる朱斗はどれもいつも幸せそうに笑ってはいなかった。
「いつでも考えてるよ。俺は朱ちゃんこと、死ぬほど好き。だから……もし俺が先に死んだら、朱ちゃんも死んでくれる?」
その恐怖にも聞こえる言葉は、一人にしないから独りにしないでと訴えているようだった。死んだ先でも樹矢は独りぼっちになってしまう。残された朱斗も一人だ。
「うん。約束。だから早く帰ってこい。ドラマの撮影が無事に終わるのおとなしく待ってる」
「頑張るね」
抱きしめ合って眠りについた。久しぶりに感じた離れない温もりにぐっすりと深く眠れた気がした。目が覚めるとまだ樹矢は家にいた。が、お互いに「いってらっしゃい」と言い合って、俺は仕事へ向かい帰宅するともう居なかった。
「待ってるから。樹矢」
代わりの無い相手と育む愛は代わりの効かない唯一無二なんだ。
空を見上げて未来で出会う自分たちと周りの笑顔を願った。
end.
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初めまして。
好きです!
樹矢くんは可愛い上に格好よくて、朱斗くんは可愛くて…可愛い二人に萌えました。
ありがとうございました。
読んでいただき、
こちらこそありがとうございます!
それぞれのキャラを愛していただけて
嬉しいです☺︎