208 / 244
相互-sougo-2
しおりを挟む
「み、きや?夜ご飯……っ」
「朱ちゃんでいいや」
忍ばせた手で腰を引き寄せ、寝室に誘導される。
突然でよろつく足取りも支えられ、優しくベッドへと俺を押し倒すと、樹矢はじっと俺を見ていた。
「何?」
行為の続きをすぐにしてこない。
「ほんと、可愛い……」
緩んだ頬と細くなる目が一瞬見えて、視界は樹矢の顔でいっぱいになる。
深く、深く口付ける。舌をゆっくり出せば直ぐに絡み取られ、俺の口内を堪能する。次第に唾液の混ざる音が鳴り始めて、無意識に吐息もお互いの間から漏れる。
「……っん、…ふ、っ…ん……」
決して声を出しては行けない訳じゃない。むしろ樹矢以外誰にも聞かれる事が無いその声は、それすらも食い尽くすように欲深く貪られる。
吐く息も間々ならないのに、強欲は止まらない。苦しくなってきて、どんどん乱れるのが分かる。そして下腹部も疼きだしていた。
「っ……ん、はぁ…!ぁ!っ……」
左手は俺の頭を撫でるように添え、右手はついに大きく盛り上がり始める俺のモノを取り出した。
「トロトロ……エッチなんだから、俺の朱ちゃん……」
ゆるりと動き始めるその手は、俺のそそり立つそれを包んで優しく上下に動き始める。優しさしか伝わってこないその動きに、幸せをまた感じる。
「朱斗さん。幸せって……なんだろね」
付き合う前、一度呑みに行った時に聞かれた質問が脳裏に過ぎった。同時に、志御さんの何処か虚ろ気な欠けた何かを探している表情も浮かぶ。
「っん…、ぅ…ぁ、ん。みぃ、くん?」
「ん……?何?」
動く手は止まらない。樹矢は俺を真っ直ぐ見て伺う。
次々に襲ってくる快感に喘ぐ声で聞きたい事がかき消されないように精一杯に我慢し、俺は樹矢に聞く。
「い、ま……幸せ?」
ピタリと手の動きが止まり、俺は樹矢を見るとその瞳にはお互いが綺麗に映った。寝室の時計が時間を刻む音をさっき以上に響かせている。どれだけ経っただろう。いや、さほど時間は経過していないのかもしれない。
次に音を奏でたのは、俺と樹矢の口づけを合わせたリップ音だった。
「朱ちゃんが幸せなら、俺は幸せだよ。出会った時以上に朱ちゃんに惚れちゃってて、きっと朱ちゃんもそうだと思ってるよ?」
「俺は……樹矢とこうして居れて、幸せだ」
「二人で居れるってだけ?」
その眼差しは、樹矢の意地悪なスイッチが入っていた。
「……樹矢を撮ってる時、ご飯を美味そうに食べる時、見送ってくれる時、おやすみって腕の中で言えた時、俺を……俺の事をこうして、抱いてくれる時……。全部が幸せだ」
「朱ちゃんでいいや」
忍ばせた手で腰を引き寄せ、寝室に誘導される。
突然でよろつく足取りも支えられ、優しくベッドへと俺を押し倒すと、樹矢はじっと俺を見ていた。
「何?」
行為の続きをすぐにしてこない。
「ほんと、可愛い……」
緩んだ頬と細くなる目が一瞬見えて、視界は樹矢の顔でいっぱいになる。
深く、深く口付ける。舌をゆっくり出せば直ぐに絡み取られ、俺の口内を堪能する。次第に唾液の混ざる音が鳴り始めて、無意識に吐息もお互いの間から漏れる。
「……っん、…ふ、っ…ん……」
決して声を出しては行けない訳じゃない。むしろ樹矢以外誰にも聞かれる事が無いその声は、それすらも食い尽くすように欲深く貪られる。
吐く息も間々ならないのに、強欲は止まらない。苦しくなってきて、どんどん乱れるのが分かる。そして下腹部も疼きだしていた。
「っ……ん、はぁ…!ぁ!っ……」
左手は俺の頭を撫でるように添え、右手はついに大きく盛り上がり始める俺のモノを取り出した。
「トロトロ……エッチなんだから、俺の朱ちゃん……」
ゆるりと動き始めるその手は、俺のそそり立つそれを包んで優しく上下に動き始める。優しさしか伝わってこないその動きに、幸せをまた感じる。
「朱斗さん。幸せって……なんだろね」
付き合う前、一度呑みに行った時に聞かれた質問が脳裏に過ぎった。同時に、志御さんの何処か虚ろ気な欠けた何かを探している表情も浮かぶ。
「っん…、ぅ…ぁ、ん。みぃ、くん?」
「ん……?何?」
動く手は止まらない。樹矢は俺を真っ直ぐ見て伺う。
次々に襲ってくる快感に喘ぐ声で聞きたい事がかき消されないように精一杯に我慢し、俺は樹矢に聞く。
「い、ま……幸せ?」
ピタリと手の動きが止まり、俺は樹矢を見るとその瞳にはお互いが綺麗に映った。寝室の時計が時間を刻む音をさっき以上に響かせている。どれだけ経っただろう。いや、さほど時間は経過していないのかもしれない。
次に音を奏でたのは、俺と樹矢の口づけを合わせたリップ音だった。
「朱ちゃんが幸せなら、俺は幸せだよ。出会った時以上に朱ちゃんに惚れちゃってて、きっと朱ちゃんもそうだと思ってるよ?」
「俺は……樹矢とこうして居れて、幸せだ」
「二人で居れるってだけ?」
その眼差しは、樹矢の意地悪なスイッチが入っていた。
「……樹矢を撮ってる時、ご飯を美味そうに食べる時、見送ってくれる時、おやすみって腕の中で言えた時、俺を……俺の事をこうして、抱いてくれる時……。全部が幸せだ」
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる