あんたは俺のだから。

そらいろ

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『vermilion(仮)』

(ヴァーミリオン……?)

 携帯をポケットから取り出して直ぐに打ち込む。出てきた日本語訳を読んで、俺はスタッフへの挨拶を早々に済ませてスタジオを飛び出した。
 頭の中は何時でも樹矢で一杯だ。きっと、彼は俺以上に一杯なのかもしれない。その理由は……。


「っ……樹矢!」

 家の玄関を開けてリビングに向かって声を張る。ソファからひょっこりと顔を見せて、口元がニンマリする樹矢の元へズカズカと俺は近づいた。
 すぐに見下げる目線になり、「おかえり。朱ちゃん」とおいでと言わんばかりに手を広げてお気楽に俺を見る。

 なかなか近づかない上に、睨みを効かせた目に樹矢は首を傾げる。

「……朱ちゃ……んっ……!?」

 次に樹矢が口を開けた瞬間、俺は見下げた樹矢に跨って口を塞いだ。自身の口で。

「っ……。し、朱ちゃん?」
「いいから、黙れよ」

 続けてキスを降らす。

 あんたに素直になんてなってやんない。

 意味を知ってしまったから。

【vermilion】
 朱色。
 その、天然色素はとても貴重で高価とされている。



(このバカ……。ありがとう)

 愛情を込めて、俺は樹矢をその後求めた。

―――
――



「朱ちゃんったら、積極的だったねー♪」
「っ……ん、んなことねぇ!」
「えー?可愛くて好きだよ」
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