あんたは俺のだから。

そらいろ

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ガラス玉-garasudama-1

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「しゆちゃん。ラムネ飲む?」

不意に樹矢が冷蔵庫から取り出したのは、透明な液体が透明なボトルに入った何だか懐かしさを感じる物だった。

何も答えていないのに、樹矢は自分の分ともう一本を取り出してソファに座る俺の元へと戻ってくる。

「どうしたんだ?これ。」

買った覚えも無ければ、樹矢が一人で買い物に行く想像もつかない俺は疑問に思って問いかける。

渡されたボトルを受け取ると、触れた指先がひんやりと冷たくて想像より重たかった。ガラス製の瓶ラムネだと分かり更に幼い頃に飲んでいた懐かしさを感じた。
その時よりも遥かに軽く小さく思うのは月日を経て、自分自身が大きく成長したからだ。そして、その幼い頃以来飲んでいない事も思い知る。

「撮影で使ったのをそのまま貰ったの。」

「なるほどね。……懐かしいな。」

ラベルを捲り取り、出てきた付属の栓を口元にハマったこれもガラス製の玉に向かって押し込み、プシュッと音を奏でて開ける。
シュワシュワと細かくすぐに消滅する無数の泡を立てて、瓶の途中にガラス玉は留まった。

「変わらないんだな。小さい時と。」

「ホントだね! っても俺は撮影で初めて飲んだから懐かしさは全く感じないんだけどね。」

樹矢の幼い頃を想像するとそりゃそうか。と特に驚きもしなかった。

「しゆちゃんなら知ってるし喜ぶかなって思って多めに貰ったんだ。」

まだあるから一緒に飲もうねー。と言って瓶に口寄せてゴクリと喉を鳴らして液体を飲む。

(『飲んでね。』じゃ無くて『一緒に飲もう。』って言うのがまた樹矢らしい……。)

多分緩んだ頬は気に留めず、俺もラムネを飲み体内に流し込む。
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