あんたは俺のだから。

そらいろ

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シンパシー-sympathy-7

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少し遠くから、彼らの後ろをついていく。段々とお互いに慣れてきたのか、緊張感は解けてよく話すようになっていく。

たまに顔を見合わせては、笑い合って穏やかで良い雰囲気が流れている。傍から見たら若い美男美女のカップルにしか見えない程に。

それを溢さないように、捕らえる。足取りが軽くなる変化すら見逃さない。

(それにしても…。)

「よく話すなぁ…。」

二人に聞こえないようにボソッと呟く。
仲が良い分、表情も良いものが撮れるし妬いては無い。けど気になる…。

(何でそんなに盛り上がってるんだろう…。)

出会ってばかりとは思えない、二人の仲睦まじい雰囲気に戸惑いつつも撮影は順調に終わった。

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「よし、OKじゃないかな。」

水族館を出て、眩しい夕日の光が目を眩ます。

「お疲れ様でした!」
「お疲れ様です!今日は本当にありがとうございます…!」

minaさんは俺と樹矢を交互に見て礼を言う。

「こちらこそ、ありがとう。初対面と思えないくらい楽しかった!また機会があればいつでも呼んでほしいなぁ。」

樹矢は嬉しそうに笑ってminaさんに言った。そして俺を見て、目を合わす。

「もちろん、その時のカメラマンさんも須藤さんで…ね?」

ね?と聞いたその表情はモデル瀬羅樹矢じゃなく、俺の恋人である樹矢の顔をしていた。

「そうですね。お二人も仲良くなれたみたいで、撮影も良い感じでしたよ。」
「ホント!?嬉しいなぁ!」

樹矢はバンザイと手を上げて喜んだ。
そんな俺と樹矢をまだ見つめていて微笑むminaさん。

「本当に仲良しですね。羨ましいです。」

俺達に向けて言ったと思われるその言葉に、仲良しなのは樹矢とminaさんじゃ?と疑問を持ったものの、樹矢が答える。
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