あんたは俺のだから。

そらいろ

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燈火-touka-2

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売り場に着いて、ずらりと並ぶ蝋燭に目を運ばせる。形も色も様々でどれにしようか悩んでいた。


「んー…。」

「しゆちゃん!俺これがいいなぁ。」

そう言って指を指す先には、薄い黄色の少し小さめの蝋燭だった。

「じゃあ、俺はこれ。」

明るい太陽の様な大きめの蝋燭を指差す。樹矢みたいだなと直感で選んだ。

「いいね。俺みたい。」

分かってるように微笑む。

樹矢が2つの蝋燭を手に持って、歩く。
出来るだけ人気の居ないところを選んで俺の選んだ蝋燭を置き、そのすぐ隣に樹矢が選んだ蝋燭を置く。

「寄り添ってるみたいでしょ?」

そう笑顔で言う樹矢をフィルムに残して、俺はうんと頷いた。
見上げた空はすっかり黒に包まれて、周りに灯る火の揺らめきが辺りを優しく照らしていた。

樹矢はかがんだ姿勢のまま、細長い摺り出しの先端を擦って、火をつける。
お互いの蝋燭を灯して素早く火を消すと、微かにした硫黄と木が燃える匂いが風に乗って何処かへ消えていった。

暗闇に目が慣れて微かに見えていた樹矢の姿が、2つの灯された蝋燭によって穏やかに優しい灯りに包まれて現れる。
シャッターを切って、樹矢の一瞬一瞬を切り取る。

「しゆちゃん、見て!」

立ち上がって指を指す。
俺は急いでその場を立つと、樹矢の指す方向を見る。

「…!」

言葉に詰まる程の無数の灯火が目に写る。
人の手によって一つずつ無作為に置かれている蝋燭達が自分を犠牲にしてゆらゆらとその命の火を懸命に輝かせている。

(星…みたい。)
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