あんたは俺のだから。

そらいろ

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誘い-sasoi-1

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「樹矢、俺のワガママ聞いて。」

家で俺お手製のご飯を食べた後、皿洗いをしている樹矢にカウンター越し話しかける。

「んー?ワガママ?」

シンクに流れる水の音と共に辛うじて聞き取れたのは"ワガママ"の単語だけだったらしく、首を傾げてチラッと俺を見る。

「…。」

今のままだと会話にならないしタイミングが悪かったと思い、くるりとキッチンに背を向けて歩きだし、リビングのソファに腰掛ける。

「しゆちゃん、ちょっと待ってねー!」

下を向き、手を動かしつつ大きな声量で俺に向けて言う。

---

「ごめんごめん。お待たせ。」

「ん。謝んなくていいよ。片付けありがと。」

机の上に並んだお揃いのマグカップを手に取って、一口喉に通す。

「さっき、そういえばワガママって言った?」

ソファの隣に樹矢が座ると思ったら、俺の膝にゆっくりと頭を乗せる。膝枕の体勢だ。

俺を下から見上げて、また聞く。

「なんのワガママですか?愛しのお嬢様?」

笑って手を伸ばし俺の頬に触れる。
皿洗いをしていた樹矢の手はひんやりと冷たくて、ワガママを言うのに少しドキドキしていた熱を冷ます。

「都内じゃないんだけど、浴衣着て…その、で、デートしたい…。」

恥ずかしくて全身の体温が一気に上がる。
頬にある樹矢の手に自分の手を重ねて、冷たくて気持ちいいと感じながらも心臓の音はうるさいままだ。

「なんて可愛いの…。」

「だ、だめ…?」

目が合えば、突として視界がぐるんと回る。

「えっ…?」

次に視点が定まった時には、樹矢越しに天井の明かりが見えた。樹矢の手は俺の肩に置かれていて彼自身は四つん這いになっている。

ちゅ。
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