あんたは俺のだから。

そらいろ

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炭酸-tansan-3

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運ばれてきた時は、シュワシュワと音を立てていたメロンソーダは次第に鳴る事を止めて静かにそこに居た。

サンドイッチを食べ終えた後、樹矢は刺さっていたストローを手に持って底からかき混ぜる。

透明の炭酸と底に溜まっていた淡い緑のシロップが混ざり合う。
完全体になったそれは更に淡い色になる。

樹矢が口元をストローに持っていき、一口吸う。

「んまいっ…!」

小さく呟いて俺を見る。

「良かったね。」

そう返すと、幸せそうにニンマリと樹矢は微笑む。

「幸せだね、しゆちゃん。」

「そう…だな…。」

俺が出さなかった言葉を樹矢は言って、俺に伝える。俺の事を本当に見透かしてるんだと改めて感じて、俺は樹矢をまたじっと見つめる。


「ねぇ、樹矢。」

俺が呼ぶとストローでソーダを吸いながらこっちを少しの上目遣いになって見る。

「ん?なぁに?これ欲しいの?」

ストローを口から離して首を傾げる。
俺は手を差し伸べてソーダのグラスを掴んで自分の方へと寄せた。結露して現れた水滴はグラス全体を纏っていて触れるととても冷たかった。テーブルには水滴の道が作られて、樹矢はサッとその道を拭き取って消した。

一口、ストローを吸って飲む。

「美味しい…。」


でしょ?とまたニンマリと微笑んで俺の顔を見る。

炭酸とシロップ。
たとえ泡が消えても水の中にはシロップが存在する。消えるものがあってもそこに居るのには変わりない。

シュワシュワシュワシュワと、俺も樹矢の中に泡みたいに消えていってたとえ透明で見えなくなっても、そこにずっと居れたらいいのにな…。

ボーッとメロンソーダを見る。

「しゆちゃんは炭酸だね。」

急に樹矢は言う。

「なんだよ、いきなり。」

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