あんたは俺のだから。

そらいろ

文字の大きさ
上 下
144 / 244

悋気-rinki-10

しおりを挟む
樹矢が俺をじっと見る。目が怖い。
それに負けず、視線を逸らすことなく話を続ける。

「今、動画サイトで人気の人なんだけど、見た目はスゴく綺麗な方なの。本当に女の人みたいに。」

「本当に女の人…?」

「そう、男だったんだよ。見た目が女性なだけで中身は正真正銘の男。今日はその人と昔からお世話になってるカメラマンさん達との打ち合わせだったの。二回目だからか、なんか距離感近くて俺もビックリした。」

「そう、なんだ…。そっか…。」

安心して樹矢の肩の力が抜けたのか、車のハンドルに顔を伏せる。

「心配しすぎ。後、嫉妬しすぎ。」

「仕方ないでしょ。好きなんだから。」

チラッと俺の方を見る。

「…浮気したと思ったのか?」

「そんな事無いって思いたかった。しゆちゃん信じられなくなったら、俺の価値なんて無くなる…。そんなの嫌だ。しゆちゃんの為の俺でありたいのに、って。」

手を伸ばして樹矢の頭を撫でる。
サラサラの綺麗な茶髪が俺の指と指の間を通り抜ける。

「あんたは俺を信じとけ。minaさん、確かに綺麗でドキドキするけど、それは被写体としてだから。」

「しゆちゃん、その人にドキドキすんの?」

「え…うん…。まぁ…。」

(やばい事言ったか…?)

不安で心臓の鼓動が早くなる。
シートベルトを外してこっちに樹矢の顔が近づいてくる。助手席の窓ガラスに俺の頭につくまで追い込まれる。俺の左側に右腕を肘ついて、一言聞く。


「俺よりも?」


俺を逃さない樹矢の視線に吸い込まれて、頬に触れて顔を引き寄せ口を塞ぐ。




やっぱり俺の一番の被写体は他の誰でもない。

瀬羅樹矢であり、俺の恋人だ…。


---
--
-
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...