あんたは俺のだから。

そらいろ

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悋気-rinki-1

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樹矢の写真集と並行して、知り合いのカメラマンから誘いを受けていた仕事があった。

メールでのやりとりで今取り掛かっている大事な仕事を優先したいからと一度は断ったのだけど、写真集が発売され落ち着いた頃に、また同じ様に誘ってくれ今回は引き受けた。

「いやぁ、須藤くんに来てもらえて嬉しいよ。」

カメラマンとしては先輩にあたる彼は、若くしてフォトグラファーの会社を設立して今もなお経営者としてもカメラマンとしても活躍している。

「そんな、こちらこそありがとうございます。こんな機会を頂けて嬉しいです。」

打ち合わせとしてあるフリースペースに集められたのは俺と彼、そして彼の部下であるカメラマン達だった。

「あの、どうして僕を…?」

メンバーを見る限り明らかに浮いている俺。

「あぁ!実は彼の希望で呼んだんだよ。」

そう言って奥から現れたのは、ついこの間撮影依頼してくれたminaさんだった。

「あ…え?か、"彼"?」

頭にクエッションが浮かぶ。
どこからどう見ても服装も髪型も容姿も"彼女"と言えるminaさん。

「こんばんは。以前はありがとうございました。」

少し照れながら話すminaさんは俺の疑問を解き明かす。

「実は私、男なんです。」

可愛らしくニコッと笑う。

「え、…ぇぇえええ!!」

追いつかない。全く追いつかない。
え?男?嘘だろ?こんな可愛らしい雰囲気の男がいるのか?
手で口を塞ぎながら考える。
あの時撮影したのも、男を撮ってたのか?
そんなはず…。

「びっくり…しました?」

俺より身長が高いため、少し屈んで顔を覗かせる。
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