あんたは俺のだから。

そらいろ

文字の大きさ
上 下
112 / 244

葵斗-aoto-5

しおりを挟む
実は葵斗と会ったのはそれが最後だった。
たまたま、俺と樹矢と葵斗で会ったあの日が。


___________________________


「あいつはね。今何してるか分からないんだ。」

本当の事を告げる。
今知っている葵斗の最大限の情報を。

「大切な人の為にしたい事がある。その人の為に生きるって、言ってた。住んでる土地は分かってるけど、実際何処で何をしてるかは話してくれないから分からない。」

「住んでるのってこないだロケで泊まりに行ったあそこら辺って言ってたよね?」

ソファに寝転がっていた樹矢は起き上がり、枕代わりにしていたクッションを抱いて胡座をかく。

「うん。でも場所が分からないんだ。教えたくない雰囲気が何時も伝わってくるから、俺も安易にそれ以上は踏み込まないでおこうって決めたんだ。」

現に俺達だって、付き合ってるのを公言してないし…。 

「お兄ちゃんとして気になるけれど、お兄ちゃんとして弟のプライベートを守ったんだね。」

おいで。と言わんばかりに手を広げてきた樹矢に近づいて、彼が座るソファの下に腰掛けた。
上から腕を回して、俺の頭を優しく撫でる。

「いずれ、話してくれる日が来るんじゃない?葵斗くん見てる限り、しゆちゃん溺愛だもん。」

俺のなのにー。と少し拗ねた声で言う。

「そうだったら安心するな。兄として…。」

「大丈夫だよ。俺が言うから安心して!」

「いや、あんたの何処にそんな根拠があるの。」

樹矢の手を握り、笑いながら返す。

「しゆちゃんの大切な弟だから、大丈夫。」

今度は甘く優しい声。
俺を後ろから抱きしめて伝わる樹矢の温もりが、背中をじんわりとぽかぽかさせる。

「お兄ちゃんなしゆちゃんも大好きだよ。」

きっと素直に思ったんだろう。
耳元で呟かれて擽ったく感じる。

「ありがと…。」

振り返って樹矢の頬を抱き寄せて、甘いキスを落とした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...