あんたは俺のだから。

そらいろ

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葵斗-aoto-4

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「し…。朱斗さん。こちらの方は…?」

席から立ち上がり、少し戸惑っている樹矢が俺をあだ名で呼ぼうとしたのを止めて、仕事上での呼び方、口調に変わった。

「あっ…この子は須藤葵斗。俺の実の弟なんだ。」

抱きつく葵斗の肩を持ち、少し離す。
葵斗はそのまま素直に離れて、樹矢と向き合う。
身長差は俺と変わらないくらいある。
しっかりと目を見つめて、葵斗は口を開く。

「初めまして。弟の葵斗です。いつも兄さんがお世話になってます!」

深々とお辞儀をして樹矢に笑顔を向ける。

「あ、え、いや。いつも…?」

更に戸惑いを見せる樹矢に葵斗は続けて言葉を紡ぐ。

「瀬羅樹矢さんですよね…?モデルの。いつも兄さんの写真に写っているんで、勝手に応援してます!」

握手してもらっていいですか…?と恥ずかしそうに手を差し出す。
樹矢はやっと理解が追いついたらしく、葵斗に返事をする。

「ありがとう!こちらこそ、いつもお兄さんにお世話になってます。」

握手を交して、樹矢もいつもの笑顔を振る舞う。
葵斗は感激したようにわぁ…!とリアクションをして、俺の方を見る。

「瀬羅さん、とっても素敵な人だね!良かったね、兄さん!」

「お、おう…。」

どういう事か分からず、とりあえず返事をする。
時計をチラッと見ると思ったよりも時間が経っていて、明日も朝がお互いに早い事を思い出す。

「やべ…。そろそろ帰らないと、明日もあるんだ。」

「わぁ、ホントだ。撮影また早いもんね。」

樹矢と目を合わせて、頷く。

「じゃ、葵斗。もっといたかったけど、また今度ゆっくり会って話そう。」

「うん!兄さんも瀬羅さんも身体に気をつけて仲良くね!また連絡するね!」

バイバイと葵斗は手を振って店内から俺らを見送る。
二人で店の外に出た瞬間、樹矢と変わらないくらいに背の高い男性一人とすれ違った。
さっきまで俺達がいた店に入っていく。

横目でそれを確認して、顔までは見えなかったがとても安心する穏やかなオーラを感じた。

そのまま俺達は、真っ直ぐ家へ帰路に着いた。
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