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葵斗-aoto-3
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結局、これまで何回も連絡していたが葵斗の大切な人はどんな人か、いま何をしているのかは分からないまま月日は過ぎていった。
俺は仕事がだんだんと忙しくなり会える時間も無くなっていき、葵斗と会える時間が作れなくなっていった。
郊外のある土地にいる事は分かったものの、敢えて会おうともならず、近況を電話で報告するだけだった。
___________________________
樹矢との撮影を終えたある日、都内のあるカフェに二人で立ち寄った。
夜ご飯を軽く済ませようと二人で注文をして談笑しながら待っていると、店内の扉の鐘がカランと鳴った。
店内の客は俺達しかいなかった為、音の鳴る方へと視線を二人して向けた。
「…あ、れ?」
開かれた扉から現れたのは紛れもない、俺の弟だった。
思わずその場から勢い良く立ち上がる。
ガタッと座っていた椅子が音を立てて、さっきまで葵斗に向けられていた視線が一気に俺に集中する。
葵斗と目がばっちり合う。
「しゆちゃん?どうしたの?」
「あっ!兄さん!!!」
下からの心配する樹矢の声をかき消すように、葵斗が俺を呼びこっちにやって来る。
「やっぱり、葵斗…だよな。」
思いもしない再開に動揺が隠しきれなかった。
「兄さん!こんなとこで会えるなんて。嬉しいなぁ。」
可愛い笑顔を振りまいて、俺に抱きつく。
どうやら仕事の関係で都内に来ていたらしく、今から仕事相手の方とお食事なんだそうだ。
ホントにたまたま。
偶然が俺達兄弟を会わせてくれたらしい。
俺は仕事がだんだんと忙しくなり会える時間も無くなっていき、葵斗と会える時間が作れなくなっていった。
郊外のある土地にいる事は分かったものの、敢えて会おうともならず、近況を電話で報告するだけだった。
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夜ご飯を軽く済ませようと二人で注文をして談笑しながら待っていると、店内の扉の鐘がカランと鳴った。
店内の客は俺達しかいなかった為、音の鳴る方へと視線を二人して向けた。
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開かれた扉から現れたのは紛れもない、俺の弟だった。
思わずその場から勢い良く立ち上がる。
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葵斗と目がばっちり合う。
「しゆちゃん?どうしたの?」
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「やっぱり、葵斗…だよな。」
思いもしない再開に動揺が隠しきれなかった。
「兄さん!こんなとこで会えるなんて。嬉しいなぁ。」
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