あんたは俺のだから。

そらいろ

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休息-kyusoku-2

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お風呂に入りながら、今日の事を思い出す。

こんなに穏やかで何かに縛られるわけでもなく自由に過ごしているのは、いつぶりだろう。

もしかして、樹矢と2人では初めてなんじゃないか?

何時もはオフの日に外へ2人で出ると、変装をしないといけない。

なるべく時間をずらして目的の場所へ行ったり、行動するなら人目が少ない朝早くに2人で出たり。

道を歩いていても周りが気になって仕方が無い。仲の良い男友達、と言えば済むんだろうけども回数が多すぎると怪しまれる。
今はお互いに揃うオフなんて殆ど無いけれど、帰る場所は同じ。絶対にバレてはいけない…。
俺達の幸せを奪われる事はあってはならない…。



この旅行は、モデルとしての彼、カメラマンとしての俺と2人での仕事。
仕事…。けれど、楽しい。
他人の目は気にしなくてもいい。
彼との距離感もいつも以上に考えなくてもいい。
撮りたい時に撮って、話したい時に話す。
幸せな休息だ…。


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すでに用意されている2つ並んだ布団の内、1つには樹矢が胡座をかいて座っていた。

「やっときたー!」

ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねて笑う彼と目が合う。

「しゆちゃん、早くここおいで。」

ポンポンと胡座のかいている場所へ誘導する。

「ん…。」

静かにちょこんと座ると、ふんわりと何時もの優しい腕に包まれた。
彼の匂いに、温泉特有の香りが混じり、安心感から今にも眠りにつけそうだ。
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