あんたは俺のだから。

そらいろ

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旅-tabi-1

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「っう…!んああっ!」
「しゆ…っ。しゆっ…。」

家じゃない、いつもと違うベッドでお互いを求め合い、殆ど同じタイミングで果てた。



「気持ちよかった?しゆちゃん♡」

「聞くなよ…。そんな事……。」


俺は布団に潜り込んでギュッと目を瞑った。

「そんな可愛い事するとまた襲っちゃうよ?」

樹矢なら襲いかねない…。

それだけは今からの体力が持たないと身体が無意識に震えた。布団からもぞもぞと顔だけ出して樹矢と目を合わす。
 

「ん?」

分かってるくせに…。


樹矢は黒い微笑みを見せる…。

「良かったよ。みぃくん…。」

答えるが直ぐに彼は俺に再び襲い掛かってきた。


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「ねぇ、しゆちゃん!しゆちゃんー!」

背後から聞こえる恋人からの呼び掛けにはスルーして、人通りの少ない裏路地をスタスタと歩く。顔はふくれっ面で半ば呆れた表情をしている。

「しーゆちゃん!」

カメラを持っていない方の手首を掴まれ、彼が視界の中に現れる。

「もう。怒んないでよー!」
「朝から何回も襲う奴がいるか!バカ樹矢!」

だってぇ…。

彼もふくれっ面な顔を見せて言葉を続ける。

「こうして、誰にも邪魔されずにしゆちゃんと二人だけでお仕事なんて…しかも泊まりでさ!この先もう無いかもしれないじゃん。思いっきり楽しんで二人で忘れられないロケにしたい!」


そう。いま俺達は都内から外れた土地で、彼の写真集の為のロケに来ている。それも二人きりでの。
前日に前乗りした俺達はホテルで早めに寝てしまい、今日は早朝からの撮影だ。

そんな朝にあんなに襲われたって事。
俺の腰…持つかな…。


そんなこんなで二人きりで初めての撮影ロケが始まる。
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