あんたは俺のだから。

そらいろ

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ミモザ-mimosa-3

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しゆちゃんが俺が歩いてくるのに気づいてお辞儀する。

「あっ……。」

彼に向かって少し傾斜になっている道を進んでいくと視界に広がったのは黄色い花を満開に咲かせた、とても大きなミモザの木だった。

「ミモザ…。」

足を止めて木を見上げる。
こんなに沢山のミモザを見るのは始めてで、少し心がじわっとした。太陽に照らされて沢山の黄色い花がキラキラと光って眩しい。

「樹矢くん…。どうしました?」

しゆちゃんが向かってくる途中でボーッとしている俺を心配して近くに来て声を掛けてくれた。

「とっても、綺麗ですね。このお花。」

木から視線を離せないまま、会話を続ける。

「ミモザって言うんですよ。この時期が満開なんです。3月8日はミモザの日って言って海外では花束やブーケをよく贈られるそうです。」

「へぇ…。」

しゆちゃんも知っていたんだ。この花の事を。
そうぼんやりと考えながら二人で並んで木を見つめていた。

「実は、これは俺からのあなたへプレゼントです。この場所探すのホント一苦労しましたよ。樹矢くん、ミモザの花言葉って知ってます?」

「花言葉…?」


___________

「樹矢くん、そしたら花言葉はなんだと思う?」

「花言葉なんてどの花も知らないよー!」

「ミモザの花言葉はね…。」

___________


「…感謝。」

過去の記憶が蘇り、ボソッと呟く。

「ふふっ。」

するとしゆちゃんが微笑って俺の前に来る。
傾斜になっているからか、何時も見下げるはずの視線が今日は同じ高さに揃う。

「黄色いミモザの花言葉は…。」

しゆちゃんが耳元で呟く。

「今日はここで撮影です。あそこのベンチで撮るので樹矢くん、よろしくお願いしますね。」

少し赤らめた表情で俺から離れるとカメラマンの彼に切り替わる。

「しゆちゃんってば、ホントに…。」

すぐにでも、彼を引き止め抱きしめて襲いたい気持ちになった。
それは帰るまでのお預けだ。
まずは存分に、このミモザの木の下での撮影を楽しもう。しゆちゃんが贈ってくれた最高のシチュエーションで、最高の作品を俺は贈り返そうと心に決めて歩き出した。



花言葉は、
秘密の恋。



__________________ Secret love.
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