57 / 244
妬心-toshin-2
しおりを挟む
「お疲れ様でしたー!」
朝から一日かけての撮影が無事に終わり、俺は感情が溢れる前に現場を離れようと挨拶を済ませて早足で控え室へと向かった。
置いていた荷物をまとめ、ふぅ。と深呼吸をして廊下に出てスタジオの出口を目指す。
廊下をスタスタと歩いていると後ろからバタバタと足音が近づいてきた。
大きな人影が俺の隣に来ると、彼は腕を引っぱってきた。
「えっ…ちょ、ちょっと…樹矢っ…!」
俺は抵抗しようにもビクともせず、樹矢の事を呼んでも全く反応してくれない。顔が見えないから表情も分からず、ただ樹矢の背中についていくだけだった。
「樹矢っ…!ねぇ、樹矢ってば…。」
スタジオの外へと出ても止まらずに歩き続ける。
しばらく歩いてピタリと止まったのは、家から距離はあるがよく通っていたカフェだった。
中に入り案内されるのはいつもの個室部屋。
割と広くてソファもあり、人目も気にせず快適に過ごせるため二人で気に入っていた穴場だった。
部屋に入り扉が閉まると同時に、樹矢は振り返り俺に迫ってくる。壁に腕を抑えつけられ、顔が近づいてくる。
「しゆちゃん。今日どうしたの。」
やっと見えた樹矢の顔は怖く、投げ掛ける声も低く落ち着いていた。
「あの子の事、考えてたの?幼馴染って言ってたよね。気になるの?」
俺の腕を掴む手にぐっと力が入る。
「撮影の合間、二人で何してたの?俺を置いて。」
怖い…樹矢が静かに怒っている。怖くて目を逸らしたいのにじっと見つめる樹矢から逃げられない。
感情が溢れる………。
朝から一日かけての撮影が無事に終わり、俺は感情が溢れる前に現場を離れようと挨拶を済ませて早足で控え室へと向かった。
置いていた荷物をまとめ、ふぅ。と深呼吸をして廊下に出てスタジオの出口を目指す。
廊下をスタスタと歩いていると後ろからバタバタと足音が近づいてきた。
大きな人影が俺の隣に来ると、彼は腕を引っぱってきた。
「えっ…ちょ、ちょっと…樹矢っ…!」
俺は抵抗しようにもビクともせず、樹矢の事を呼んでも全く反応してくれない。顔が見えないから表情も分からず、ただ樹矢の背中についていくだけだった。
「樹矢っ…!ねぇ、樹矢ってば…。」
スタジオの外へと出ても止まらずに歩き続ける。
しばらく歩いてピタリと止まったのは、家から距離はあるがよく通っていたカフェだった。
中に入り案内されるのはいつもの個室部屋。
割と広くてソファもあり、人目も気にせず快適に過ごせるため二人で気に入っていた穴場だった。
部屋に入り扉が閉まると同時に、樹矢は振り返り俺に迫ってくる。壁に腕を抑えつけられ、顔が近づいてくる。
「しゆちゃん。今日どうしたの。」
やっと見えた樹矢の顔は怖く、投げ掛ける声も低く落ち着いていた。
「あの子の事、考えてたの?幼馴染って言ってたよね。気になるの?」
俺の腕を掴む手にぐっと力が入る。
「撮影の合間、二人で何してたの?俺を置いて。」
怖い…樹矢が静かに怒っている。怖くて目を逸らしたいのにじっと見つめる樹矢から逃げられない。
感情が溢れる………。
0
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる