あんたは俺のだから。

そらいろ

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旋回-senkai-1

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すごくカッコよかった……。
今まで撮ってきたどのモデルよりも彼が一番カッコよかった…。
笑ってもキラキラしてすごく自然で、その反面で見せるクールな顔にもドキッとした。

「……朱斗…カッコイイ?」

太陽に照らされ、手を差し出して言う彼が本当にカッコよくて、その顔を残したいと俺はシャッターを切った。

_______________


朝から行った撮影が無事に終わり、俺は片付けをして家に帰ろうとしていた所、彼に引き止められた。食事に誘われ、俺はOKの返事をした。

もっともっと彼を知りたい…。

そう思う一心で快く承諾したんだ。

何処か暗い闇がありそうな彼は、俺と話すだけでそんな事まるで何も無いように表情が変わる。

きっと、何かはあるんだろう。
敢えて聞くつもりも無かったが、力になれるならとは思っていた。

沢山のスタッフがいる中で手を繋がれ歩き出した。俺らはその場から早々に去った。
繋がれた手は熱く、緊張なのか胸の鼓動がドンドンとうるさく、相手に聞こえてしまうのではと恥ずかしかった。


「「お疲れ様でーすっ。」」


前回とは違う彼の行きつけという個室のある店へ連れてこられ、今日のお疲れ様と言う事で乾杯をした。

「朱斗さんっ、本当に今日はありがとうございます。今までに無いくらい自然な表情が出せました‼」

「こちらこそ、ありがとうございます。」

「朱斗さんも撮影、楽しかったですか??」

首を傾げて聞いてくる。

「えぇ。楽しかったです。」

これは本心。モデルの自然な表情を引き出せて、とても楽しかった。かつ、彼はどんな角度からでも様になっていて、どこを切り取ろうか、これもあれもとシャッターを止める事が殆ど無かった。
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