あんたは俺のだから。

拍動-hakudou-3

　正直ドキッとした。
　綺麗な顔で真剣に見つめられて鼓動がどんどん早くなっていく。

「俺、今日初めて朱斗さんに会って一目惚れしちゃって…可愛いなって今もずっと思ってるんです」

「さっき別れてフリーになったことだし、俺と付き合ってみませんか？」


「え…あ…い、いやいやいやいや。まず俺男だし。君のことも会ったばかりであまり知らないし、そんなの無理だ」


　戸惑いすぎて、そして急すぎる展開についていけず頭がパンクしそうになる。


「性別なんか関係ないじゃないですか！俺は朱斗さんがいいんです！知らないならもっと知っていってください。時間の許す限り会いましょう。そして沢山話しましょう。本当に、本当にこの気持ちは本気なんです」

　俺の肩を持ち、必死に言葉を投げ掛けてくる。その手には力が入っていて、どれだけ彼が真剣なのかが伝わってきた。


「悪いけどさ……付き合うとかは無理。ただ…友達にはなろう。あんたの事は雑誌を見た時から気になっていて、実際に今日会ってもっと知りたいと思ったんだ」

　今思っている正直な言葉を彼に伝えた。彼は掴んでいた手の力を緩めて顔を伏せた。


「………そっか。……分かりました。ならもっと、もっと俺の事を知って下さい。そして、そしていつか……朱斗さんに好きになってもらいます。頑張ります」


　その言葉は真っ直ぐ、俺の心の中に響いた……。