あんたは俺のだから。

そらいろ

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薫香-kunkou-2

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 情事が終わり、二人ともお風呂できれいサッパリしたら髪の毛を乾かし合った。指先に触れる朱ちゃんの少しくせ毛な髪が可愛くて、勢い良くわしゃわしゃと愛でる。
 その後、朱ちゃんはキッチンに立って夜ご飯を作り始めてくれた。


「疲れてるだろうし出前とかで良いのに!」

「大丈夫だよ、簡単に作るから樹矢はそこで大人しく待ってろって」

 トントントン……

 朱ちゃんの包丁の音が部屋中に響く。あぁ、落ち着くなぁ。幸せだなぁ。そんな事を思いながらリビングの机の上に置いていた雑誌を手に取りパラパラと捲る。

「あっ…」

 そこにはついこの間撮影してもらった俺が載っていた。端に小さく書かれているカメラマンの名前は朱ちゃんだ。完成した写真の表情は柔らかく幸せそうな笑顔を出していた。


(やっぱり、朱ちゃんが撮る写真が一番)


 今回は冬コーデの特集として掲載されていて何着か着替えながら色々なパターンで撮影した。どの俺を見てもカメラの先に朱ちゃんがいるってだけで幸せそうな顔をしている。

 キッチンからいい匂いがしてきて、思わず体がその匂いにつられて動いた。


(朱……)

 手を伸ばして、そっと後ろから抱きしめる。身長差があるから俺の胸に彼はすっぽりと収まる。

 朱ちゃんの首元に顔を近づけて匂いを嗅ぐ。

「……いい香りだね。朱」

 囁くと朱ちゃんは、ちょっと料理中で危ないからっ、やめろ…。と特に反抗することもなく恥ずかしそうに耳を赤らめて言った。

「ホント。可愛すぎ」

 抱きしめる力を強めて、朱ちゃんの体温を感じた。朱ちゃんの匂いがする…落ち着く…俺の大好きで愛おしい匂い…。

「もう、樹矢……」

 しょうが無いなといった感じで料理の手を止めて俺に抱きしめられるがままの状態になった。
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