あんたは俺のだから。

そらいろ

文字の大きさ
上 下
8 / 244

白黒-shirokuro-5

しおりを挟む
 __ゅ…ゆちゃ…朱…ちゃん!

「……朱ちゃん!」

「ん…ん??」

 目を覚めると樹矢が俺に抱きついてきた。力強く、締め付けられて苦しい。

「あれ…っ俺……」

 今が何時か分からない。俺らの家の寝室でベッドの上に居るのは確かで……、あれ。俺って……。

「朱ちゃん、ごめんね!大丈夫?これ、お水飲んで…!」

 樹矢は俺をゆっくり抱き起こすとグラスいっぱいの水を差し渡した。

「ごめんね。夢中になりすぎて力加減が馬鹿になって気づかないうちに朱ちゃんの首を締め付けてたみたいで……」

 苦しかったよね。本当にごめん……。

 そう言って泣きそうな表情で樹矢は俺の頭を優しく撫でた。

 そっか、最中に締められてたっけ。
 水を飲みながらぼーっとさっきの事を思い出した。愛されながら、強く締められたかな。
 自分の首に手を当てる。

 __でもその締めつけすら、俺は嬉しかった気がする。

「大丈夫だよ。俺は」

「ホント?痛くない?病院いく?」

「こんなので病院なんて行かねぇよ」

 俺は笑いながら樹矢に返した。

「久々に激しくて俺は嬉しかったよ…」

 本人にちゃんと言うのは恥ずかしいからボソッと呟いた。

「朱ちゃん……‼」

 聞こえてたのか樹矢の表情が何時もの笑顔に戻った。

「大好き!朱ちゃんは俺のだからね。誰にも渡さない。この身体も顔も眼差しも全部全部俺のだよ。いつかさ、遠い未来になると思うけど、二人だけの空間で誰の目も気にせずにさ、ずっと一緒に過ごそうね?」


 再び頭を撫でながら樹矢は言った。

「……っ!」

 俺と同じ事を考えてた。
 心の中でとても安心した。同時に嬉しくて泣きそうになって。俺ってこんなに泣き虫だったっけ。と考えた。




 __俺と樹矢だけの想い。
 __他の誰にも見せない想い。



「よろしくお願いします
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

職場の秘密

あみち
BL
ある上司と部下の愛のお話。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

処理中です...