あんたは俺のだから。

水明-suimei-1

　水も滴る……。





「……いい男」

「ん？朱ちゃん、なんか言った？」

　二人でお風呂に入り、寝るまでの時間をのんびり過ごそうとした所ソファに押し倒してきたこいつは俺の彼氏、瀬羅樹矢せらみきや。
　若者に人気のモデルとして樹矢はいろんな雑誌の表紙に抜擢されている。天然な性格と人懐っこい笑顔からテレビにも出演しており多忙な毎日の様子。

「いや、何もねぇよ」

　押し倒されている俺は須藤朱斗すどうしゆと。
　フリーカメラマンとして人物、動物、風景など……色々な写真を撮っている。最近はモデルやアーティストを撮影する事が多く、樹矢もその内の一人。

　そんな俺らは男同士で一緒に住んでいて、かつ付き合っている。
　もちろん周りには秘密だ。


「今日も可愛いね！朱ちゃん♡」

「可愛くねぇよ」

　ちゅ……。

　不意に頬にキスをしてきて、真剣な目で見つめてくる。いつ見ても綺麗な顔立ちをしているこいつは、俺にしか見せない表情で俺に愛情を注ぎ始める。

「耳真っ赤じゃん。……やっぱり可愛い」

　そんないつもより低い声で囁かれたら。
　もう、駄目になるから。

「みぃくん。はやく……」

　俺は樹矢の首に腕を回して自分の方へと引き寄せた。