そらいろのSS

そらいろ

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香り

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 君の香りが大好きだった。
 追いかけて、追いかけて、やっと受け止めてくれたあの時間。君の香りは気づいたら無くなっていた。そして、君は僕から離れてしまった。

 鬱陶しい。伸ばしすぎた長い前髪がなびく今日。毛先が目に入りそうで、手で髪を払いながら歩く。

 人とすれ違う交差点。信号が青になって近づいてくる人の群れ、殆どが他人で名前も知らない。
 目も合わすことなく次々に交差している時。

 ふわっ。と髪が舞うと共に香ったんだ。懐かしい、大好きな香りが。
 僕は、振り返ってもいいのかな。
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