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本編で語られなかったイチャラブ事情

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「しかしサイヒ様の友人がカカンを訪ねて来るとは、それもこんな美形が。美しい方と言うのは知り合い迄美しいものなのか?」

「うん、サイヒは綺麗だよねー。カカンでも人気あったの?」

「サイヒ様か?人気、は姉のマーガレット様の方があるな。サイヒ様は綺麗だが存在感が薄いと言うか、印象に残らない方だったからな。国民の為の政策は力を入れていたから指示はされていたが」

「サイヒに存在感が無い?あーアイツ【認識阻害】の魔術使ってたからなぁ」

「それは本当かいレディ!?」

 ルーシュの言葉にジャスミンが驚いた表情を浮かべる。

「聖女としても規格外の法力を秘めていたが、魔術まで使えたとは。聖女だけでなく賢者の資格も有していたとは驚きだ」

「それにドラゴンならデコピン1発で倒すよ♪」

 アンドュアイスが追い打ちをかける。

「デコピン!?法術に魔術に体術が人間離れしているな…末恐ろしい方だ。今は何をされているのだ?」

 流石に神様ですとは言えない。
 それも全ての神の頂点の全能神様だ。
 ルーシュはどう言葉にするか悩んだ。

「今はね、僕の従兄弟と結婚して子供も2人居るよ。何処の国にも属してなくて名前の知られていない国で平和に暮らしているんだ~」

「結婚成されたのか!?それも子供!!それは驚いたな」

「そんなに驚くこと?サイヒは綺麗だから引く手数多だと思うけど?」

 アンドュアイスが不思議そうな顔をする。
 サイヒは綺麗だ。 
 それはもう規格外なくらい。
 【認識阻害】の術をかけてなおその美貌は隠しきれない。

「いや、何と言うかあの方が男と結ばれたと言うの驚いたと言うか…男だったら末恐ろしい方だっただろうなぁとは思っていたのだが………」

 成程。
 ルーシュとアンドュアイスは納得した。
 サイヒは【認識阻害】の魔術を使って尚男の色香を放っていたと言う事だ。
 多分使用人の中では圧倒的に男より女の方に人気があったのだろう。

「本当に当時【認識阻害】の術を使ってくれていて良かった。サイヒ様が素の魅力を発揮したらメイドたちが血で血を洗う争いそしかねない」

 うんうんと頷きたくなるルーシュとアンドュアイスである。
 フレイムアーチャいた時も”シスターハナ”の人気は留まる事を知らなかった。
 そして名物の”シスターハナクッキー”出来てしまったのだからその魅力は恐ろしいものである。

「ジャスミンはサイヒと仲良かったの?」

「聖女様だからな、俺では凡そ近づける身分ではないさ。だが君たちを見ていたら随分好かれているようであるし、1度素のサイヒ様と話してみたいとも思うな」

「じゃぁ今度一緒に会いに行く?」

「君たちと一緒にかい?サイヒ様は俺なんて覚えてないと思うが?」

「サイヒが覚えて無い事なんて無いよ~だってジャス君格好良くて優しくて楽しいもん♫」

「俺は男に褒められても嬉しくないが、アンドュに褒められるのは悪い気がしないな」

「本当?えへへ~♫」

 ニコニコニコニコ

 アンドュアイスが始終笑みを浮か浮かべている。
 そしていつの間にか愛称で呼び合っている。
 その一瞬で親密な関係になったジャスミン相手に、ルーシュは今までで1番の危機感を感じるのであった。

(アンドュ様がジャスミンさんに取られそうで怖いんよー頼むからアンドュ様男に目覚めんといて欲しいんね!)

 過去にアンドュアイスが男を買っていたことを知らないルーシュである。
 色々理由があるからと言って、だからと言って男も受け付ける体質な事をルーシュはまだ知らない。
 これは言うべきか言わないべきか、判断が問われる所だが、今のところルーシュにその事実を知らせる者が居なくて良かっただろう。
 ジャスミンへの懐き方を見るにルーシュが卒倒しそうだからである。

 流石のサイヒもアンドュアイスの過去をそこまでルーシュに暴露したりはしない。
 聞くなら本人からだろう。
 そんな過去、アンドュアイス自身も今の幸せで忘れてそうなのだが。

 知った時、ルーシュはどんな反応をするだろうか?
 
 軽蔑されるかもしれないと普通なら思う。
 だがアンドュアイスをルーシュを信じているので、そんな事でルーシュが自分を遠ざけないと本能で認識している。
 しかし男もいける事も知ったらルーシュは警戒を2倍に増やさないといけない。
 男でもアンドュアイスに懸想する者は居るだろう。
 魅力的すぎる恋人を持つと言うのは大変な事であるらしい。

 アンドュアイスがルーシュに男とも関係を持った事を放すのは何時になる事であろうか?
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