男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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 アンドゥSide

 僕もまだ触ってないのに!
 僕もまだ触ってないのに!!
 僕もまだ触ってないのに!!!

 アンドュアイスの頭の中はソレでいっぱいだ。

 アンドュアイスだって男だ。
 性欲はそう強くは無いが、好きな女の子なら触れたいと思う。
 精剛なため性欲が強いと思われがちだが、アンドュアイス自体に性欲はほぼ無いのである。
 その少しばかりの性欲がそそられるのがルーシュだ。

 その、ルーシュの足に!
 しかも靴を脱がそうとして素足を触っている他の男が居る。

 アンドュアイスもまだ触っていないルーシュの足に!

「君はこの女の子の連れかい?駄目じゃないか足を怪我した女の子を放っておくなんて」

「ルーシュ、足怪我してるの?」

「え、と…なれないヒールで走ったので挫きました………」

 ルーシュの表情が恐怖に怯えている。
 それほど恐ろしい想いをさせたのだとアンドュアイスは思った。
 それほど知らない男に触れられて恐怖したのだと。
 当然だ。
 ルーシュは女らしくしだして1年ちょっと。
 男に性欲を向けられて恐怖を覚えない筈が無い。

 そうアンドュアイスは思った。

 そしてそんな怖い思いをルーシュにさせた自分が許せなかった。

「ルーシュ、今その男を始末してあげるからね」

 そう言ってアンドュアイスは腰に差した剣の柄に手をかけた。

 :::

 ルーシュSide

(アンドュ様がキレてる―――――――っ!!!)

 ルーシュは血の気が引いた。
 あんなに怒るアンドュアイスを見たことが無い。
 やはり逃げたのは不味かったか、と。

 実際にはルーシュの足を触っているジャスミンにキレているだけである。

 アンドュアイスだって男だ。
 好きな女の子の足に触られて良い気がする筈が無い。
 しかも男に触られているのだ。
 キレもする。

「君はこの女の子の連れかい?駄目じゃないか足を怪我した女の子を放っておくなんて」

「ルーシュ、足怪我してるの?」

「え、と…なれないヒールで走ったので挫きました………」

(ひぃぃぃぃぃいっぃぃぃっぃぃぃっ!!!)

 ブリザードが吹いたかのように空気が冷たくなる。
 アンドュアイスの得意法術は風邪属性だったはず。
 何時の間に氷属性を身に付けたのだろう?
 複数の属性を持っているのが唯一の自慢のルーシュの心はバキバキに折れそうだ。
 実際には恐怖でルーシュの体感温度が一気に下がっただけである。
 
 しかもアンドュアイスは全能神の加護をえて”天界の雷”を操る。
 裁きの聖なる雷だ。
 これ以上に人外になられてはルーシュが困る。
 付いていけない次元に1人で勝手に旅立たないで欲しい。

(勝手に逃げて勝手に怪我したから怒ってる――――っ!ごめんなさいぃぃぃいぃいっぃぃっ!!!)

 ルーシュの顔が強張り真っ青になる。
 言葉も発せない。

 そしてアンドュアイスが己の帯刀している剣の柄に手をかけたのを見て、思わず叫んでしまった。
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