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本編で語られなかったイチャラブ事情

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 アンドュSide

 キンッ

 酒で顔を真っ赤にしていた屈強な男の体験が飛んだ。
 アンドュアイスの長剣がその手から弾いたのだ。

 戦いはお話にもならない。

 金色の閃光が走った。
 その次の瞬間には男の体験は弾き飛ばされていたのだ。
 現在男の首筋にアンドュアイスの長剣がヒタリ、と当てられている。
 金属特有の冷たさが、その切れ味を物語っているようで男は恐怖を感じた。

「で、少女は何処に居る?」

「す、すすすすすすまん!知らんのだ!」

「私を謀ったか、命が惜しくないようだな」

「た、助けてくれぇ…………」

 ショロロロロロ

 男の股座から水が漏れる。
 失禁したのだ。
 それが訓練場の地面に広がり湯気を立てていた。
 片付ける方には心から謝るべきである。

「でも、女ならきっと庭園に居ると思うぞ」

「庭園?何故だ?」

「女に嗅覚が物凄いい良いやつが居るんだよ。初めてこの王宮にきた女なら必ず目をつけられているはずだ」

「ルーシュが他の男に…………」

 アンドュアイスの双眸が冷ややかに細められた。

 :::

 ルーシュSide

「あの、もう平気なんで降ろして下さい!」

「足の治療しないとね。挫いてるのに自分で歩いちゃだめだよ」

(どどどどどどどどどうしよっ!?)

 アンドュアイスにすらまだされたことのないお姫様抱っこ。
 こんな形で初お姫様抱っこされるとは思わなかった。
 それも見知らぬ土地の見知らぬ男に。

「こっちに庭園があるんだ。薔薇が綺麗だよ、きっと君も気に居るさ」

「いえ!怪我治すなら治療室に連れて行ってくださいせめて!!」

「ふふふ、照れ屋さんだね」

「照れてません!」

 照れる訳が無い。
 ルーシュは歩く猥褻物の心友と、同じく歩く猥褻物なアンドュアイスと行動を共にしているのだ。
 今更そこそこのイケメンにトキメク訳ない。
 と、言うか、だ。

 この程度の男、男してた時の自分の方がイイ男だ。
  
 ルーシュは能力が自分より劣る男にはときめいたりする訳がないのだ。

 それより怖いのはアンドュアイスにこれを見られてしまうかもしれない恐れでルーシュは焦っているのだ。
 あぁ見えてアンドュアイスは嫉妬深い。
 皇太子モードでも大型犬モードでもアンドュアイスはルーシュが絡むと嫉妬深くなるのだ。
 キレたアンドュアイスなんて想像できそうで想像できない。
 兎に角物凄くヤバい気がするのだ。
 早くこの男から離れなくては。
 だが挫いた右足が痛い。

 痛くても男を倒して逃げる事も出来るが、無理をして足をさらに痛めたらアンドュアイス怒られそうな気がする。

 何故自分は3cm程度のヒールで足を挫くのだ………。
 己の女子力の低さに泣きたくなるルーシュなのであった。
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