男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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「ルーシュ………」

「は、はい、アンドュ様………」

 椅子から立ち上がったアンドュアイスがルーシュの方へ近寄る。
 その目にはとても大切なものを慈しむような光を称えて。
 そしてルーシュの目の前に来て微笑んだ。

「綺麗だよ、ルーシュ」

「「「「「「「「「ん”ん”っ!!!!!」」」」」」」」

 ルーシュ含む女の定員たちは全身固まった。

(((((((綺麗なのはアンタだ――――――っ!!!)))))))

 自然と女を口説き落とす能力が磨かれたアンドュアイスがルーシュに向かって、甘い低音ボイスで囁いた。
 とびっきりの色気を纏った笑顔を付けて。
 忘れていたであろうが、アンドュアイスは女を口説くのが上手いのだ。
 それが今回、ルーシュが想像以上に綺麗になって、どう反応すれば良いのか分からなくて誑しモードが全開で出た訳である。
 大人の色香を振りまいているが、これでも保護犬、パニックなのである。
 が、周りはそう捉えない。
 それはそうだ、アンドュアイスの犬気質を誰も知らないのだから。

「僕が選んだ服を着てくれてありがとう。凄く良く似合ってる。想像以上だよ、こんな綺麗になったルーシュを皆に見せつけたいし、誰にも見られない様に囲いたい。
僕色に染まって、凄く、嬉しいよ。人の目が無ければ、本気でこの場で口説き落としたいくらいだ………」

(何この人!格好良すぎる!!)

(いやぁぁぁ私も囁かれたい――――ッ!!)

(一晩で良いからお願いしたい!破産しても良い!!)

(何何々この2人!歳離れてるのに甘い雰囲気出して、現代のマイフェァレディ!?)

(私もこんな美形な人に自分色に染められたい~~~~~♡)

 美容部員さんの心の中は大嵐だ。

 アンドュアイスはパニクッているだけなのだが。
 心の中では大型犬が尻尾を振っている。

(わぁぁあルーシュ可愛い♡僕が選んだ服凄く似合っている!ルーシュはスカート履いても可愛いな。これからもこんな格好してデートしてくれるかな?あぁぁギュ――――ッってしたいけどこんな人の多い場所じゃ出来ないよ――――ッ!!思い切りハグしてルーシュの感触感じて香り嗅ぎたいのに!!香水はつけなくて正解だったよね。ルーシュはそのままの方が良い匂いなんだから♡
もう今日は王宮を尋ねるの止めて王都でデートじゃダメなのかなぁ、綺麗なルーシュと色んな所周って僕の彼女だぞ、って自慢したいよ~~~~~っ!!!)

 そしてアンドュアイスはルーシュの手を取って、唇を手の甲に寄せた。

 チュッ

 リップ音がサロンに響く。

「あ”あ”あ”あ”…ひゃぁあっぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

「えええええルーシュ―っ!?」

 真っ赤になって意識を失ったルーシュがその場に崩れ落ちる。
 寸前でアンドュアイスが抱きとめた。
 流石はスパダリである。
 16歳のルーシュにはアンドュアイスの色香は刺激が強すぎたのだ。

「お客様、ご休憩室がありますのでそちらを使ってください」

 大きな店舗では、途中気分が悪くなった者のために休憩できる部屋も設けてある。
 ソコにアンドュアイスとルーシュは案内された。

 そしてルーシュの意識が戻るまでベッドで横にならしておくのだが、その間女の店員が入れ替わり立ちかわり小窓からアンドュアイスの様子を見に来ていた。
 彼女の手を握って瞳を伏せた顔がこれまたセクシーなのだ。
 普段なら人の気配に敏感なアンドュアイスも、ルーシュが心配で気にする暇も無かった。
 悪意のある気配になら敏感なのだが。

 王宮のと図書室に行くまでにまだまだ時間がかかりそうな2人なのであった。
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