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本編で語られなかったイチャラブ事情

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 男の好きな密着姿勢は?

 と聞くとどんな体制が浮かぶだろうか?
 因みにルーシュは膝枕とラッコ座りだ。
 何でかというとアンドュアイスが両方好きなのである。

 たまにお姫様抱っこしようとするけどソレは御免被る。

 流石にあんまり体重を知られたくない。
 ルーシュは身長と筋肉分、普通の女の子より体重が重いのだ。

 “ひざ枕”のメリット
 安心感やリラックス効果が得られることが、男性にとっては嬉しいようである。
 そのまま眠れるのもいいのだろう。
 でも中には、「逆に気を使ってしまう」という声もある。
 女性で言うところの“腕枕”をしてもらっているときの心理に近いのかもしれない。
 ひざ枕をした状態から女性にキスされるのも、男性が好むシチュエーションのようだ。

 “らっこ座り”のメリット
 カラダが触れる面積が大きいだけに、相手の存在を強く感じられる。
 女性のカラダが触りやすいのも、男性として嬉しいところだろう。
 らっこ座りのとき、女性は体全体を預けている形になるので、手を回してハグしたり後ろからキスをしたりと、体を触る流れに持ち込みやすいというメリットもあるようだ。
 一緒にお風呂に入るときなどは、自然とこの体勢になることが多い。

 まぁ未だにルーシュはアンドュアイスと一緒にお風呂に入ったことは無いが。

 さて、何故こんな話になったかというと、アンドュアイスがこの2つの姿勢にハマっているからである。
 ルーシュが月の物で倒れてから依頼だ。
 倒れた後、2泊3日もあったのにアンドュアイスは王宮に籠る事を望んだ。
 帝都探索はしばらく中止のようだ。
 だがルーシュとイチャイチャはしたい。
 そしてアンドュアイスは天啓を授かった。

『部屋に籠って存分に甘えて甘やかしたら楽しいぞ☆』

 全能神、愛犬に激甘である。

 そしてアンドュアイスはルーシュに与えている部屋で2人で籠る事にした。
 お菓子と果実水の用意は準備万端。
 ルーシュが調子を悪くしたとき用の漢方薬と飲み水もOK。
 そしてルーシュの趣味である冒険譚、騎士道、魔術の本の準備も万端だ。

「え~とアンドュ様、本当にこの体制で本読むのですか………?」

 ベッドにルーシュが座り、後ろにはアンドュアイス。
 ルーシュの腹に腕を廻している。
 その腕はポカポカと温かい。
 法術で温めているのだろう。
 月の物で腹痛が酷いルーシュには心地良い温さだ。
 それに背中に感じる体温も安堵感がある。

 安堵感がある、が、緊張するのは仕方ない。

 好きな人とこんなにくっ付いてドキドキしないほどルーシュは乙女心を捨てていない。
 それに男は剣を振りあう相手だと思っていたので、接触の対象と見た事は無かった。
 だがアンドュアイスはルーシュの初恋の相手である。
 それも最高級の男。
 外見も能力も家柄(皇族なので家柄と言うレベルではない)が天元突破している相手だ。
 ドキドキしない方が無理であろう。

 その様子を見ているのは天の上の全能神。
 アンドュアイスに甘く、心友のルーシュを揶揄うのを生き甲斐としている全能神は大変満足だ。
 保護犬が可愛くて心友がてんぱっていて面白おかしい。
 まぁそれは置いといて………。

「うん、この方が一緒に本読みやすいでしょ~」

 ニッコニコの笑顔で言われて断れる筈が無い。
 何せ相手の顔が良すぎる。
 これを断れる度胸はルーシュには無い。

「~~~時々、休憩挟んでくださいね」

「うん、疲れたらね~」

 因みにこの体制では女は疲れない。
 最高級の背もたれがあるからである。
 そしてアンドュアイスは上背も筋肉もある。
 肉体美も最高級だ。
 ルーシュが体重を預けたところで疲れるなんてことはない。
 全能神の天啓はここまでがセットである。

(うわぁぁぁぁあアンドュ様、何で男の人なのにいい匂いするんかなぁぁぁぁぁああっ!!!)

(ルーシュは引っ付いてても気持ち良いな、女の人に引っ付いて気持ち悪く無いのサイヒ以来だ~でもサイヒは引っ付きたいと思わないけど、ルーシュは何時までも引っ付いていたいな~…
速くルーシュが大人になって結婚したいな、そしたらず~~~~っと傍に居れるんだもんね~)

 半場意識を失いかけるルーシュとニッコニコのアンドュを見たら、王宮の者たちは気を失うかもしれない。

 まぁ後1年半もしたら身近な者たちには見慣れる光景になるのであろうが、それでもルーシュとアンドュアイスにとっては途轍もなく長い1年半となるのだった。
 長い1年半、少しでも多くのルーシュ成分(てなんだ?)を摂取するのに割と必死なアンドュアイスなのであった。
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