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本編で語られなかったイチャラブ事情
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「良し、ニンジンを絶滅させよう」
「いや、ソレは流石にやりすぎじゃねサイヒさん?」
全能神は全てを見ていた。
ニンジンを無理して食べたアンドュを。
その後吐き戻したのも。
「ニンジンでなくとも栄養は取れる」
「そだけどさ~」
「ニンジン嫌いな人間は多い」
「でも馬はニンジン好きだぞ?」
「グッ!!」
サイヒが言葉を詰まらせる。
アンドゥアイスを愛犬と可愛がるサイヒだが、同時に動物が大好きである。
馬も凄い好きだ。
可愛い馬から好物を取り上げる。
駄目だ罪深い。
「諦める………」
「うん、そうしな………」
何とも和気あいあいとならないお茶会である。
そう今はお茶会を開いている。
いや、菓子も出てないしノンカフェインのハーブティーを飲んでいるだけだから、パジャマパーティーの方が正解かもしれない。
サイヒはパジャマは着てないが。
ルーシュはきっちり着込んでる。
ブーツの足跡が付いているが。
つまりはルーシュは踏まれた後なのである。
しかも説教まで喰らった後だ。
ポーカーフェイスのアンドュアイスの感情を読み取れとは、サイヒもルーシュに求めるものが多い。
心友ゆえに求めすぎてしまう。
だがルーシュは文句は言わない。
サイヒが自分に求めるものが多いのは、自分を信頼してくれている証だと知っているからだ。
それにサイヒ分かるアンドュアイスの気持ちを気付かない自分など嫌だ。
サイヒがどれだけアンドゥアイスを可愛がっているのか知っている。
でも負けたくない。
アンドュアイスを想う感情の大きさなら自分の方が上だとルーシュは信じている。
だってアンドュアイスはルーシュの唯一だから。
別に唯一を持っているサイヒにも、これだけは負けたくない。
なのでルーシュはサイヒの説教を文句も言わず聞いた。
自分自身が悔しくて少し泣きそうだったけど、我慢だ。
叱られたから泣いたなど思われたくない。
それに心友に泣き顔を見せたくない。
対等な対場でいたいから。
頼られる存在でいたい。
サイヒからアンドュアイスの全てを任せられる存在になりたい。
今回サイヒが覗いていたのは帝都に出るアンドュアイスの事を心配してだろう。
その時点でルーシュはまだサイヒから信頼を勝ち取っていないのだ。
信用はされているみたいだが。
頼られてはいない。
「もうアンドゥを泣かすなよルーシュ」
「もう嬉し泣きしかさせねーよ!」
ニヤリ、とサイヒが笑う。
そしてふっ、と姿を消した。
【空間異動】の神術を使ったのだ。
「お休みくらい言っていけっるーの」
だがサイヒが笑って帰ったなら、きっとルーシュの気持ちの大きさを理解してくれたからだろう。
もっとアンドュアイスを幸せにしたい。
ルーシュの手で1番の幸せを感じて欲しい。
「お前にだって負けねーからな心友」
ハーブティーでのどを潤し、ルーシュは休息をとるためベッドに移動した。
次の日、アンドュアイスに背中の足跡を指摘されるまで気付かった。
良い言い訳が思いつかなかったのでサイヒが来ていたことを内容をぼかして話す。
「いいなぁ、僕もサイヒにあいたかった~」
ニッコリ☆
アンドュアイスの最高に可愛い笑顔が朝から見れた。
目の保養だ。
だがそれがサイヒ関係だと言うのは頂けない。
「私だけでは物足りないですか?」
「そんな事ない!ルーシュが1番だよ!!」
「私もアンドュ様が1番です」
「1番?」
「はい、1番ですよ」
「そっかー」
無邪気な笑みでなく、花が綻ぶような優しい笑顔にアンドュアイスの表情が変わる。
その微笑みにルーシュは魅入った。
自分がアンドュアイスにそんな笑みを浮かべさせることが出来た。
何という幸福。
胸が満ち足りる。
同時に心臓が張り裂けそうなくらいバクバクと高鳴る。
「手、繋いで食堂行こ?」
「はい」
手汗が気になりながらもルーシュはアンドュアイスと手を繋ぐ。
サラリとしたアンドュアイスの手は気持ち良い。
子供みたいなのに体温は意外と低いのだ。
(大人、だなぁ………)
大きな手。
形のいい手。
指が長く太い。
男らしい硬い手。
それにドキドキしながら、早く自分がアンドュアイスをときめかせる存在になれたら良いなぁと、アンドュアイスの顔を盗み見て思うのだった。
「いや、ソレは流石にやりすぎじゃねサイヒさん?」
全能神は全てを見ていた。
ニンジンを無理して食べたアンドュを。
その後吐き戻したのも。
「ニンジンでなくとも栄養は取れる」
「そだけどさ~」
「ニンジン嫌いな人間は多い」
「でも馬はニンジン好きだぞ?」
「グッ!!」
サイヒが言葉を詰まらせる。
アンドゥアイスを愛犬と可愛がるサイヒだが、同時に動物が大好きである。
馬も凄い好きだ。
可愛い馬から好物を取り上げる。
駄目だ罪深い。
「諦める………」
「うん、そうしな………」
何とも和気あいあいとならないお茶会である。
そう今はお茶会を開いている。
いや、菓子も出てないしノンカフェインのハーブティーを飲んでいるだけだから、パジャマパーティーの方が正解かもしれない。
サイヒはパジャマは着てないが。
ルーシュはきっちり着込んでる。
ブーツの足跡が付いているが。
つまりはルーシュは踏まれた後なのである。
しかも説教まで喰らった後だ。
ポーカーフェイスのアンドュアイスの感情を読み取れとは、サイヒもルーシュに求めるものが多い。
心友ゆえに求めすぎてしまう。
だがルーシュは文句は言わない。
サイヒが自分に求めるものが多いのは、自分を信頼してくれている証だと知っているからだ。
それにサイヒ分かるアンドュアイスの気持ちを気付かない自分など嫌だ。
サイヒがどれだけアンドゥアイスを可愛がっているのか知っている。
でも負けたくない。
アンドュアイスを想う感情の大きさなら自分の方が上だとルーシュは信じている。
だってアンドュアイスはルーシュの唯一だから。
別に唯一を持っているサイヒにも、これだけは負けたくない。
なのでルーシュはサイヒの説教を文句も言わず聞いた。
自分自身が悔しくて少し泣きそうだったけど、我慢だ。
叱られたから泣いたなど思われたくない。
それに心友に泣き顔を見せたくない。
対等な対場でいたいから。
頼られる存在でいたい。
サイヒからアンドュアイスの全てを任せられる存在になりたい。
今回サイヒが覗いていたのは帝都に出るアンドュアイスの事を心配してだろう。
その時点でルーシュはまだサイヒから信頼を勝ち取っていないのだ。
信用はされているみたいだが。
頼られてはいない。
「もうアンドゥを泣かすなよルーシュ」
「もう嬉し泣きしかさせねーよ!」
ニヤリ、とサイヒが笑う。
そしてふっ、と姿を消した。
【空間異動】の神術を使ったのだ。
「お休みくらい言っていけっるーの」
だがサイヒが笑って帰ったなら、きっとルーシュの気持ちの大きさを理解してくれたからだろう。
もっとアンドュアイスを幸せにしたい。
ルーシュの手で1番の幸せを感じて欲しい。
「お前にだって負けねーからな心友」
ハーブティーでのどを潤し、ルーシュは休息をとるためベッドに移動した。
次の日、アンドュアイスに背中の足跡を指摘されるまで気付かった。
良い言い訳が思いつかなかったのでサイヒが来ていたことを内容をぼかして話す。
「いいなぁ、僕もサイヒにあいたかった~」
ニッコリ☆
アンドュアイスの最高に可愛い笑顔が朝から見れた。
目の保養だ。
だがそれがサイヒ関係だと言うのは頂けない。
「私だけでは物足りないですか?」
「そんな事ない!ルーシュが1番だよ!!」
「私もアンドュ様が1番です」
「1番?」
「はい、1番ですよ」
「そっかー」
無邪気な笑みでなく、花が綻ぶような優しい笑顔にアンドュアイスの表情が変わる。
その微笑みにルーシュは魅入った。
自分がアンドュアイスにそんな笑みを浮かべさせることが出来た。
何という幸福。
胸が満ち足りる。
同時に心臓が張り裂けそうなくらいバクバクと高鳴る。
「手、繋いで食堂行こ?」
「はい」
手汗が気になりながらもルーシュはアンドュアイスと手を繋ぐ。
サラリとしたアンドュアイスの手は気持ち良い。
子供みたいなのに体温は意外と低いのだ。
(大人、だなぁ………)
大きな手。
形のいい手。
指が長く太い。
男らしい硬い手。
それにドキドキしながら、早く自分がアンドュアイスをときめかせる存在になれたら良いなぁと、アンドュアイスの顔を盗み見て思うのだった。
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