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本編で語られなかったイチャラブ事情
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「………」
「どうしましたアンドュ様?」
アンドュアイスがケバブ(もどき)を1口食べて食べるのを止めた。
眉間にしわが寄っている。
苦悩するワンコである。
「………ニンジンが入ってる」
「嫌いなんですか?」
「………うん」
しょんぼりである。
垂れた尻尾と耳が見える。
いや、ソレは幻覚だが見えるもんは見えるのだから仕方がない。
「私のホットドックと変えましょうか?」
「良いの?」
「まぁ今回は」
「ごめんね、ルーシュ………」
しょんぼりである。
今すぐ駆けつけて慰めたい全能神と従兄弟の魔王が天界で副官たちに止められていた。
が、今は地上での話なので深くは語らない。
アンドュアイスがホットドックをモグモグする。
ぱぁ、と顔が変わった。
普段食べなれないジャンクな味が気に入ったららしい。
ソレを見て、ルーシュは困った。
ニンジン嫌いの未来の皇帝をどうするか。
そう言えば王宮で食べる食事にニンジンが無かったな、と思い出した。
未来の皇帝に好き嫌いがあるのはよろしくない。
ちゃんと躾はすべきだろう。
「アンドュ様、デートですが少しだけ貧困層の所へ行っても良いですか?」
「ん?ルーシュが生きたいなら良いよ~」
ニコニコのアンドュアイスのご機嫌を損ねたくない。
普段からしんどい思いをしているのだ。
皇太子のアンドュアイスはすでに皇帝がやる仕事の殆どをこなしている。
優秀なのでやらせた方が効率が良いのだ。
未来の皇帝候補を育てると言う名目でだが、王宮の皆がアンドュアイスの能力が高いため政の殆どを任されていることを知っている。
勿論ルーシュも知っている。
だから自分といる時はずっと楽しくいて欲しい。
だがルーシュは意外と厳しいのだ。
騎士をしていた分、色んな国をめぐったし色んな人種を見た。
裕福な者、貧困の者。
だからアンドュアイスにも色んなことを知って欲しいと思った。
ニンジン嫌いなんて大した問題じゃないだろう。
皇帝なら好きな食事が選べて当たり前だ。
それでもルーシュは、生の人参でも喜んで食べる人種も居る事をアンドュアイスに知って欲しかった。
いかに自分が恵まれているか知って欲しかった。
嫌いなニンジンを食べろと言っている訳では無い。
ただ知って欲しかったのだ。
それが自分の自己満足だと知っていても。
そして2人はデートには向かないであろう、スラムの方へと向かうのだった。
「どうしましたアンドュ様?」
アンドュアイスがケバブ(もどき)を1口食べて食べるのを止めた。
眉間にしわが寄っている。
苦悩するワンコである。
「………ニンジンが入ってる」
「嫌いなんですか?」
「………うん」
しょんぼりである。
垂れた尻尾と耳が見える。
いや、ソレは幻覚だが見えるもんは見えるのだから仕方がない。
「私のホットドックと変えましょうか?」
「良いの?」
「まぁ今回は」
「ごめんね、ルーシュ………」
しょんぼりである。
今すぐ駆けつけて慰めたい全能神と従兄弟の魔王が天界で副官たちに止められていた。
が、今は地上での話なので深くは語らない。
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ぱぁ、と顔が変わった。
普段食べなれないジャンクな味が気に入ったららしい。
ソレを見て、ルーシュは困った。
ニンジン嫌いの未来の皇帝をどうするか。
そう言えば王宮で食べる食事にニンジンが無かったな、と思い出した。
未来の皇帝に好き嫌いがあるのはよろしくない。
ちゃんと躾はすべきだろう。
「アンドュ様、デートですが少しだけ貧困層の所へ行っても良いですか?」
「ん?ルーシュが生きたいなら良いよ~」
ニコニコのアンドュアイスのご機嫌を損ねたくない。
普段からしんどい思いをしているのだ。
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勿論ルーシュも知っている。
だから自分といる時はずっと楽しくいて欲しい。
だがルーシュは意外と厳しいのだ。
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だからアンドュアイスにも色んなことを知って欲しいと思った。
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嫌いなニンジンを食べろと言っている訳では無い。
ただ知って欲しかったのだ。
それが自分の自己満足だと知っていても。
そして2人はデートには向かないであろう、スラムの方へと向かうのだった。
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