男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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 応接間に通されて現在お茶タイムである。
 フェルゴールが淹れるお茶が旨い。
 少なくともルーシュの淹れるお茶より美味しい。
 ここでも何か負けた気がするルーシュである。

 まぁフェルゴールは客商売をするので美味しいお茶の1つでも淹れれないと話にならない。
 商談をまとめるのに美味しいものと言うのは印象が良いのだ。
 ちなみに茶菓子として付いてきたクッキーもマドレーヌも美味しい。

 お菓子を作ると3回に1回程度しか人に振舞える味にならないルーシュは再びショックを受ける。

 女として完全に負けている。
 相手は男だと言うのに…。

「それで魔鉱石でアクセサリーだっけ?何かリクエストある~?」

「いえ、何も思い浮かばなくて…アンドュアイス様は大抵のものは持ってらっしゃるし……」

「まぁ王位継承権第1位だもんね~何でも持ってるよねぇ…」

「取り合えず質の良さそうな魔鉱石は片っ端から取って来たんですが」

「魔鉱石だけ?何か違う力も感じるんだけど?」

「あ、ミスリルも取れたので取ってきました」

「もしかしてそのバッグ、マジックアイテム?」

「はい、見た目よりかなり量入ってます!」

 ルーシュがテーブルに袋の中の物を全て取り出す。
 こんもりと小さな山が出来た。
 魔鉱石とミスリルの大量の山である。

「これは、随分取って来たねぇ~」

「楽しくなってきちゃって」

 何か気恥ずかしくなる。
 ルーシュはバトルジャンキーなので戦闘も絡んでテンションが上がった結果である。

「主殿は加減を知らんのんじゃ」

「うわぁ、喋るドラゴンだ~可愛いねぇ~」

「そ、そそそそそそれ程でもないのじゃ!」

 ルインがどもる。
 オグリ以外からは褒められ慣れていないのだ。
 そして認めていないがルインはイケメン好きだ。
 何時もサイヒにもメロメロである。
 色気を垂らしてる人種に弱いらしい。

「それだけミスリルもあるならいっそ剣にしちゃえば?」

 何時の間にか来ていたフェルゴールの相方であるベルンが言った。
 ドワーフの血が流れているので小柄である。
 幼い顔も相まって非常に保護欲をそそる美少女である。
 ルーシュはここでも負けた気がした。

「ベルン、剣打ってくれるの?普段面倒臭いからいやだって言ってるのに」

「こんな質の良い材質見せられたら鍛冶師の心は擽られるわよ。式典でも使える様な装飾した剣で良くない?勿論実用も出来るようにするけど。それなら何処に持っていっても問題ないでしょ?」

「剣…アンドュアイス様がいつも持ち歩いてくれる………」

 ルーシュの頬が赤く染まる。
 アンドュアイスが美麗な剣を腰に差す姿を想像したのだ。
 実に絵になっていた。
 頬を染めるのも仕方ない。

「ふふん、誰が見ても国宝級と認める剣、打ってやるわよ」

「有難うございます!!」
 
 ルーシュは立ち上がりフェルゴールとベルンに感謝の礼をした。
 元騎士だけあって礼も洗礼されている。

「楽しみにしててよね」

「1週間程度で出来ると思うよ~出来たらニャックスで報告するから待っててね~」

「宜しくお願いします!!」

 想像していた物と違う物と出来そうだが、想像していたより良いものが出来そうだ。

「主殿良かったのじゃ」

「そうねんルインさん」

 ルインもご機嫌なルーシュを背中に乗せて飛んでいるが、やはり使い魔。
 主が嬉しいと自分も嬉しくなってくるのだ。
 こうしてご機嫌な1人と1匹はフレイムアーチャに帰っていくのだった。
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