男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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『ルインちゃんプレゼントなの~』

 オグリがかぎ爪に持っているのはドラゴンであるルインでも身に着けれるサイズのブレスレッドだ。
 金色台座に深紅の石が嵌め込まれている。
 凝った細工はされていない。
 シンプルな造りの物であった。

 正直な所、光物を集める癖のあるドラゴンにしてみればソレは収集する価値のない造りだ。
 だがそのブレスレットに籠められた魔力はルインをもってしても目を見張るものがある。

「魔道具なぞ何処で手に入れたのじゃ?」

『サイヒから貰ったなの。オグは青い石で、ルインちゃんは赤い石なの』

「サイヒ殿から?成程、あのバケm…規格外のサイヒ殿が魔力を込めたからその様な神具にも近い魔道具が出来た訳なのじゃ」

『にーちゃはオグとお揃いの、ルインちゃんはルーシュちゃんとお揃いのヤツなの』

「何と、主殿たちにも?4つもそのような魔道具を作ったのかえ!?」

『5分くらいで皆の分作ってたなの』

「1つ1分15秒……バケモノなのじゃ………」

『で、これはアクマと戦うサイシュウヘーキなの。オグのは法術でルインちゃんのは魔術だけど効果は一緒って言ってたなの』

「ほう、で、どんな付与がされておるのじゃ?」

『んとね、~~~~~』

 :::

「本当にその様な付与がされておるのじゃ!?」

『サイヒ嘘言わないなの。だからルインちゃんこれ付けて、なの』

「うむ、正直術の内容が飛び抜きすぎて若干信じられぬが…サイヒ殿なのじゃ……信用する価値はあるのじゃ……」

『じゃぁルインちゃん左手出してなの』

「んむ」

『嵌めるなの~』

 オグリの手(足?)がルインの前足(左)にブレスレットを嵌める。

『ルインちゃんの鱗の色と似あって綺麗なの~真っ赤でキラキラしてるなの~♪』

「そ、そうなのじゃ?」

『いつかオグがもっと似合う赤い指輪あげるなの。左手の薬指に嵌めるやつなの~』

「左手の薬指と言うと、人間が結婚するときに付けるものなのじゃ?」

『そうなの、獣型でも人型でもサイズが合うやつをサイヒに造って貰うなの!』

「お主はせっかちじゃ。まだ妾に1度も勝てた事のないくせに」

『きっともうすぐ勝つなの、そんな予感がするなの』

(オグリは魔獣と言うより神獣なのじゃ…信託の類かも知れぬのじゃ……)

「期待せずに待っておくのじゃ」

『うふふ、期待しておいてなの!』

 決戦迄あと10分。
 結界の外での使役獣たちの会話である。
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