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はぁ、と大きな溜息をルーシュが吐く。
「どうしたのじゃ主殿、辛気臭いのじゃ」
夜の荒野、聞いてくれる人間は居ないが、使い魔のルインが相手をしてくれるので寂しくない。
「いや、アンドュアイス様なんだけど…」
「主殿の番がどうしたのじゃ?」
「いや、まだ番じゃないからね!」
「まだ、と言う事はこれから番になる予定があると言う事なのじゃ」
「ちが、今のは言葉のあやね!私、アンドュアイス様をそんな邪な目で見てないし!」
耳まで真っ赤にして言うのだから説得力が無い。
「主殿、認めたらどうなのじゃ?何故それほどアンドュアイス殿に対して恋愛感情を否定するのじゃ?妾はオグリが自分より弱いから拒否しておるが、主殿とアンドュアイス殿なら強いのはアンドュアイス殿なのじゃ。
アンドュアイス殿は強大な法力を秘めておるし、主殿はオツムが緩いくせに魔術に関しては国宝級なのじゃ。
きっと生まれてくる子は2人の良い所を受け継いだ強い子なのじゃ!
アンドュアイス殿も満更ではないし、ここは雌の主殿からグイグイ主導権を持ってやるのじゃ。亭主関白にしてはいかんのじゃ!」
「亭主関白って、何処でそんな言葉覚えるかなぁ…教えた覚えないぞ?まぁ確かに、アンドュアイス様については過敏になってるところはあるんだよなぁ……」
ルーシュはアンドュアイス事をあまりよく知らない。
ガフティラベル帝国の王位継承権第2位であること。
剣と法術の腕が生半可なレベルで無い事。
王族用の顔と素顔を使い分けている事。
精神年齢が5歳児並みで、甘いお菓子が好きな事。
……そして、女が嫌いな事。
ルーシュが引っかかっているのは最後の事情である。
別にアンドュアイスはゲイと言う風には見えない。
なら何故女が嫌いなのか?
女らしくない、内面がむしろ男に近いルーシュやサイヒに懐いている。
もし、ルーシュがアンドュアイスに対して女を見せれば、アンドュアイスはルーシュに心を開かなくなるのではないか?
それがルーシュには怖いのだ。
「女を見せれない、主殿はアンドュアイス殿に嫌われたくないから1歩踏み入れられないのじゃ?だったら主殿は既にアンドュアイス殿の事を異性として見ているのではないかえ?」
「ゔっ…」
実に正論だ。
まさかドラゴンに人間の恋愛観を説かれるとは思わなかった。
「私、アンドュアイス様の事好きなのかなぁ…あ”-でも嫌われたくないな……アンドュアイス様、何で女嫌いなんだろう………」
まさかプライバシーにかかわるそんな事を本人に聞く訳にもいけない。
勿論人からまた聞きするなんて、それ以上にありえない。
「何時か、本人から聞けるかなぁ……?」
(妾か見ればアンドュアイス殿は主殿にメロメロなのじゃ。何で本人には伝わらないのかのう?主殿はサイヒ殿を見習って、もっとゴウイングマイウェイになるべきなのじゃ)
自覚しきれないルーシュだが、その背を預けるには十分な相手だとアンドュアイス事を思っている。
だからこそ今の空気を壊したくない。
「オグリの匂いが近づいて来たのじゃ」
「んじゃ、今日の打ち合いも頑張りますか!最近1本を取られる時間が短くなってきたんよな。騎士が王族に負けるなんてあってはならないよな。それに、全敗したら何かまた爆弾落とされそうだし……」
「さて、妾も未来の番の相手をするとしよう」
ルインはドラゴンフェイスでキュートに笑った。
「あ、ルインはオグリの番になる気あるのね?」
「法術を使うグリフォンなぞ見た事がない。将来有望なのじゃ。きっと妾とオグリの子は強い子が生まれるはずなのじゃ!」
ウキウキとするルインを見て、ルーシュは本能で生きる魔獣が羨ましいと感じるのだった。
決戦迄後2日……。
「どうしたのじゃ主殿、辛気臭いのじゃ」
夜の荒野、聞いてくれる人間は居ないが、使い魔のルインが相手をしてくれるので寂しくない。
「いや、アンドュアイス様なんだけど…」
「主殿の番がどうしたのじゃ?」
「いや、まだ番じゃないからね!」
「まだ、と言う事はこれから番になる予定があると言う事なのじゃ」
「ちが、今のは言葉のあやね!私、アンドュアイス様をそんな邪な目で見てないし!」
耳まで真っ赤にして言うのだから説得力が無い。
「主殿、認めたらどうなのじゃ?何故それほどアンドュアイス殿に対して恋愛感情を否定するのじゃ?妾はオグリが自分より弱いから拒否しておるが、主殿とアンドュアイス殿なら強いのはアンドュアイス殿なのじゃ。
アンドュアイス殿は強大な法力を秘めておるし、主殿はオツムが緩いくせに魔術に関しては国宝級なのじゃ。
きっと生まれてくる子は2人の良い所を受け継いだ強い子なのじゃ!
アンドュアイス殿も満更ではないし、ここは雌の主殿からグイグイ主導権を持ってやるのじゃ。亭主関白にしてはいかんのじゃ!」
「亭主関白って、何処でそんな言葉覚えるかなぁ…教えた覚えないぞ?まぁ確かに、アンドュアイス様については過敏になってるところはあるんだよなぁ……」
ルーシュはアンドュアイス事をあまりよく知らない。
ガフティラベル帝国の王位継承権第2位であること。
剣と法術の腕が生半可なレベルで無い事。
王族用の顔と素顔を使い分けている事。
精神年齢が5歳児並みで、甘いお菓子が好きな事。
……そして、女が嫌いな事。
ルーシュが引っかかっているのは最後の事情である。
別にアンドュアイスはゲイと言う風には見えない。
なら何故女が嫌いなのか?
女らしくない、内面がむしろ男に近いルーシュやサイヒに懐いている。
もし、ルーシュがアンドュアイスに対して女を見せれば、アンドュアイスはルーシュに心を開かなくなるのではないか?
それがルーシュには怖いのだ。
「女を見せれない、主殿はアンドュアイス殿に嫌われたくないから1歩踏み入れられないのじゃ?だったら主殿は既にアンドュアイス殿の事を異性として見ているのではないかえ?」
「ゔっ…」
実に正論だ。
まさかドラゴンに人間の恋愛観を説かれるとは思わなかった。
「私、アンドュアイス様の事好きなのかなぁ…あ”-でも嫌われたくないな……アンドュアイス様、何で女嫌いなんだろう………」
まさかプライバシーにかかわるそんな事を本人に聞く訳にもいけない。
勿論人からまた聞きするなんて、それ以上にありえない。
「何時か、本人から聞けるかなぁ……?」
(妾か見ればアンドュアイス殿は主殿にメロメロなのじゃ。何で本人には伝わらないのかのう?主殿はサイヒ殿を見習って、もっとゴウイングマイウェイになるべきなのじゃ)
自覚しきれないルーシュだが、その背を預けるには十分な相手だとアンドュアイス事を思っている。
だからこそ今の空気を壊したくない。
「オグリの匂いが近づいて来たのじゃ」
「んじゃ、今日の打ち合いも頑張りますか!最近1本を取られる時間が短くなってきたんよな。騎士が王族に負けるなんてあってはならないよな。それに、全敗したら何かまた爆弾落とされそうだし……」
「さて、妾も未来の番の相手をするとしよう」
ルインはドラゴンフェイスでキュートに笑った。
「あ、ルインはオグリの番になる気あるのね?」
「法術を使うグリフォンなぞ見た事がない。将来有望なのじゃ。きっと妾とオグリの子は強い子が生まれるはずなのじゃ!」
ウキウキとするルインを見て、ルーシュは本能で生きる魔獣が羨ましいと感じるのだった。
決戦迄後2日……。
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