男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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 私の名前はルーシュ・サウザント・ドラゴニア。
 誇り高き王家専属聖騎士団の聖騎士を12歳から15歳まで勤め上げた。

 女の身を隠しながらだ。

 女だとよくバレなかったと思うだろう。
 ソコには私の努力の結晶があったからだ。

 まず物心ついて魔術の操作を覚えてから脳内ホルモンに干渉し、男性ホルモンを流しまくった。
 女性ホルモンの分泌は出来るだけ抑えるようにした。
 止めると言う手もあったが髪は女性ホルモンが影響しているので、若い身空でハゲになるのは御免だったので適度に流しておいた。

 お陰で私は背は女にしてはぐんぐん伸び、綺麗に筋肉の付いた細マッチョになった。
 戦いを主にしていたおかげで皮膚は褐色に焼け、自慢の筋肉を映えさせる。

 本来なら”おっぱい”になる物は”雄っぱい”に変化を遂げていた。
 腋毛もすね毛もギャランドゥも年の割に濃かったのではないか?
 腰にタオルさえ巻いていれば、男風呂に入っても誰にも疑われることは無かった。
 
 勿論生理も無い。

 喉は僅かに隆起し、簡易喉仏のお陰で声はハスキーボイス。
 誰も私の性別を疑わない。

 まぁ一緒に風呂に入っているのだから当たり前だろう。
 腰のタオルだけは死守した。
 屈辱的だが包〇であると誤魔化して。
 仲間たちの憐みの目は一生忘れることは無いだろう。

 :::

 そして現在。
 私は聖女付のメイドをしている。
 
 身長こそ低くならなかったものの、”雄っぱい”は”おっぱい”になった。
 男性ホルモン止めただけなのに…。
 ”おっぱい”が出来た………。
 ”ちっぱい”だけど正式な”おっぱい”だ。
 ”雄っぱい”が懐かしい。
 さようなら私の”雄っぱい”……(´Д⊂グスン

 すね毛も腋毛もギャランドゥもはらはら抜けた。
 男が頭皮の毛が抜けていくときの絶望はあんな感情なのかもしれない。
 とにかく絶望が私を襲った。

 鍛えられた筋肉は萎み、腕も足も腰も細くなり体全体が柔らかくなった。
 何処に消えたんだ、私のシックスパックは!?
 日に当たらない生活のせいで褐色の肌が白くなってしまった。
 これでは残された筋肉すら映えないではないか!!

 喉の隆起も無くなり声が高くなった。
 ハスキーボイスは何処に身を隠した!?
 つーか私の地声ソプラノだったのかよ!!

 そして連れ戻されて3ヵ月、私は姉たちから徹底的に淑女のマナーを叩き込まれた。
 今ではお茶を美味しく淹れるのもお手の物だ。

「あ~お茶くそまず~。生ぬるいから入れ直してね~」

 この聖女、頭勝ち割ってやろうか。
 私の3年と3ヵ月を返しやがれ。

 引きつく頬を隠しながら聖女様のお茶のおかわりを淹れるべく、私は新たにお湯を取りにいくのだった。

 つーか不味いなら飲むな糞聖女!!
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