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【33話】
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《天界1日フリーパス券》
☆都合の良い日に来ると良い☆
こんな軽いノリの展開への招待状があるのでしょうか?
いや、あるんですけどね目の前に。
神様らしいと言えば神様らしいです。
私は寝着から着替えると支度をし食卓へ向かいます。
食事は皇太子様と一緒に取っているので。
皇太子様は相変わらず「カノンの作るパンケーキが食べたい」「フレンチトーストが食べたい」と駄々を捏ねますがソレをちゃんと叱って席に着かせます。
もう私は都合の良い護衛でなく婚約者です。
伴侶を嗜めるのも私の役目です。
ついついポリフォニーの時の癖で甘やかしそうになりますが。
皇太子様、今は私の方が身長が低いので上目遣いは諦めた方が良いと思いますよ?
「フォルテシモ様、神様から招待状が届きました」
「本当か!?」
「何時なら予定空けれますか?」
「カノンの命を救ってくれた神だ。すぐにでも会いに行こう!」
仕事したくないだけですよね?
皇太子と言っても仕事はありますから。
まだ成人されてないので量は少ないですが。
仕方ないですね、仕事を手伝って早く終わらせてから行くとしましょう。
2日後くらいなら何とかなるでしょう。
それにしても久しぶりの天界、楽しみです。
:::
そして仕事を片付けて正装を着て招待所に書かれている通りに全身が移る鏡の前に立ちました。
青のドレスの私と、白と青を基調とした正装の皇太子様が移っています。
そして鏡がぐにゃりと映る景色を変えました。
これは天界の王宮の広間です。
見覚えのあるステンドグラスにシャンデリア。
私は鏡に触れました。
その手は鏡を突き抜けます。
「カノン!?」
「大丈夫です、フォルテシモ様も付いて来て下さい」
そのまま二人で手を繋いで鏡の中へと入って行きました。
目の前は先ほど映っていた景色。
王宮の広間です。
「お久しぶりですねカノンさん」
鈴を転がすような愛らしい声が私の名前を呼びました。
この声にも覚えがあります。
「マロン様!」
声の方を見るとマロン様とクオン様が立っておられました。
相変わらず美男子に美少女です。
絵になる2人ですね。
皇太子様は固まっておられます。
いえ、クオン様を凝視しております。
「カノン、お2人は?」
「私の座学と料理の先生と剣の先生のマロン様とクオン様です。お2人はご夫婦なのですよ」
「夫婦なんだな?」
「えぇラブラブです」
「ラブラブなのか?」
「それはもう」
こう言っておかないと皇太子様が余計な嫉妬をしそうなので。
まぁ本当にラブラブのお2人ですけど。
「カノン、よく頑張ったな………」
クオン様の青緑の瞳が揺れています。
マロン様がハンカチをクオン様に渡します。
そのハンカチでクオン様はだばだば流れ出した涙を拭っていました。
「クオンさん、カノンさんの事を娘のように思っているから、幸せそうな姿を見て安心したみたいです」
クスクスとマロン様が笑います。
クオン様、そんなん心配してくれていたのですね。
嬉しい事この上ないのですが、クオン様が血を拭う以外でハンカチを使っているのに違和感を覚えてしまってすみません。
「お兄様はもうサロンにいらっしゃいますわ。行きましょう」
マロン様がにっこりわらいました。
相変わらずお可愛らしいです。
流石の皇太子様も少しくらい魅了され…てないですね………。
私を抱え込まんばかりで腕を絡めとられます。
関節決まりそうなので止めて欲しいのですが。
器が…器が小さいですよ!!
同性でも駄目なんですか!?
そうしてサロンに招き入れられて、私は久しぶりに美の化身とも言えるような全能神様と1年ぶりの対面をするのでした。
☆都合の良い日に来ると良い☆
こんな軽いノリの展開への招待状があるのでしょうか?
いや、あるんですけどね目の前に。
神様らしいと言えば神様らしいです。
私は寝着から着替えると支度をし食卓へ向かいます。
食事は皇太子様と一緒に取っているので。
皇太子様は相変わらず「カノンの作るパンケーキが食べたい」「フレンチトーストが食べたい」と駄々を捏ねますがソレをちゃんと叱って席に着かせます。
もう私は都合の良い護衛でなく婚約者です。
伴侶を嗜めるのも私の役目です。
ついついポリフォニーの時の癖で甘やかしそうになりますが。
皇太子様、今は私の方が身長が低いので上目遣いは諦めた方が良いと思いますよ?
「フォルテシモ様、神様から招待状が届きました」
「本当か!?」
「何時なら予定空けれますか?」
「カノンの命を救ってくれた神だ。すぐにでも会いに行こう!」
仕事したくないだけですよね?
皇太子と言っても仕事はありますから。
まだ成人されてないので量は少ないですが。
仕方ないですね、仕事を手伝って早く終わらせてから行くとしましょう。
2日後くらいなら何とかなるでしょう。
それにしても久しぶりの天界、楽しみです。
:::
そして仕事を片付けて正装を着て招待所に書かれている通りに全身が移る鏡の前に立ちました。
青のドレスの私と、白と青を基調とした正装の皇太子様が移っています。
そして鏡がぐにゃりと映る景色を変えました。
これは天界の王宮の広間です。
見覚えのあるステンドグラスにシャンデリア。
私は鏡に触れました。
その手は鏡を突き抜けます。
「カノン!?」
「大丈夫です、フォルテシモ様も付いて来て下さい」
そのまま二人で手を繋いで鏡の中へと入って行きました。
目の前は先ほど映っていた景色。
王宮の広間です。
「お久しぶりですねカノンさん」
鈴を転がすような愛らしい声が私の名前を呼びました。
この声にも覚えがあります。
「マロン様!」
声の方を見るとマロン様とクオン様が立っておられました。
相変わらず美男子に美少女です。
絵になる2人ですね。
皇太子様は固まっておられます。
いえ、クオン様を凝視しております。
「カノン、お2人は?」
「私の座学と料理の先生と剣の先生のマロン様とクオン様です。お2人はご夫婦なのですよ」
「夫婦なんだな?」
「えぇラブラブです」
「ラブラブなのか?」
「それはもう」
こう言っておかないと皇太子様が余計な嫉妬をしそうなので。
まぁ本当にラブラブのお2人ですけど。
「カノン、よく頑張ったな………」
クオン様の青緑の瞳が揺れています。
マロン様がハンカチをクオン様に渡します。
そのハンカチでクオン様はだばだば流れ出した涙を拭っていました。
「クオンさん、カノンさんの事を娘のように思っているから、幸せそうな姿を見て安心したみたいです」
クスクスとマロン様が笑います。
クオン様、そんなん心配してくれていたのですね。
嬉しい事この上ないのですが、クオン様が血を拭う以外でハンカチを使っているのに違和感を覚えてしまってすみません。
「お兄様はもうサロンにいらっしゃいますわ。行きましょう」
マロン様がにっこりわらいました。
相変わらずお可愛らしいです。
流石の皇太子様も少しくらい魅了され…てないですね………。
私を抱え込まんばかりで腕を絡めとられます。
関節決まりそうなので止めて欲しいのですが。
器が…器が小さいですよ!!
同性でも駄目なんですか!?
そうしてサロンに招き入れられて、私は久しぶりに美の化身とも言えるような全能神様と1年ぶりの対面をするのでした。
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