顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、その身を偽り皇太子の護衛として王国へと帰還する

高井繭来

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【32話】

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 現在の私は王宮に住んでおります。
 結婚式もわりとすぐ挙げれそうなので、どうせ王宮で暮らすのだから、と皇太子様が意見を通しました。
 まぁポリフォニーの時も王宮で住んでいたので、特に勝手が分からないとかはありません。
 そしてポリフォニーの部屋を、そのまま使わせて頂いてます。 
 1年も過ごした部屋なので居心地が良いです。

 この意見に皇太子様は嬉しそうな顔をしました。
 ポリフォニーは皇太子様の護衛なので、部屋が皇太子様の隣なのです。
 いざと言う時、すぐに皇太子様の部屋に入れるように部屋を繋ぐ扉もあります。
 なので最初は一緒の部屋で暮らせないことに不満を言っていた皇太子様も譲歩してくださいました。

 婚約中に同室はないでしょう同室は………。

 皇太子様の頭の中のお花畑がここしばらくで広がっている気がします。
 
 私がポリフォニーのように素で振舞うと皇太子様はソレはソレは喜んでくれるのです。
 カノンとして淑女の態度で接しては駄目です。
 きちんと叱るところは叱らないと皇太子様は調子に乗られるのです。

 まぁポリフォニーだった頃の能力も引き付いているので、護衛としても働けるでしょう。
 ソレを知った皇太子様はとても嬉しそうでした。
 私に護衛をつけなくて良いからです。

 自分以外の異性どころか同性でさえ私の護衛をつけるのが嫌みたいでしたから。

 ほんっとうに、器が小さすぎませんか皇太子様………?
 器の小ささを様々と見せられて、結婚したら尻にひかねばなるまいと決心する私が居ました。
 淑女…淑女は何処に消えたのでしょうね………。
 すっかり私は強くなっていました。
 主にメンタル面が。
 これなら皇太子様を尻に引くのも容易いでしょう。
 皇太子様がソレを望んでいる節もありますし。
 Mですか?
 M何ですか皇太子様?

 男も好きなんじゃないかと心配している上に、Sの人間にまで警戒しなくてはならなくなりました。
 結婚したら疲れるんでしょうねぇ。
 でもそれ以上に皇太子様が好きなのだから仕方がないのですけど。

 はぁ、と溜息が出ました。

 公の前では皇太子様を立てつつ、2人きりの時は上手くあしらう。
 まぁ出来るでしょう。
 天界でのお勉強に比べたら容易いものです。

 ところで神様は今の私の状態を把握しているのでしょうか?
 多分把握しているとは思いますが、直接会って皇太子様を紹介したいし、これまでの成果も報告したいです。
 何よりお礼が言いたいです。

 神様に来いとは言えないですからね。

 神様が私の気持ちを汲み取ってくれることを願いましょう。
 なので毎日神様に祈りを捧げていた時間を今日は少し長くとりました。
 寝る前にこれをしないと何か落ち着かないんですよね。

 次の日、ベッドサイドのテーブルに1枚の招待状が届いて私は驚愕する事になるのでした。
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