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御使い様は学生になりました

【御使い様は嫌われる?2】

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 嫌われか、よくpix〇vの黒子の〇スケで読んだなぁ~と、深海は思った。
 そうすれば小説の展開よろしく、大勢の男子が駆け込んできて、深海を強姦未遂の犯罪者に仕立て上げてしまったのだ。
 本当にそうなるんだな~、と深海は暢気に思った。

 面倒臭い。

 女襲うのにロッカー壊す意味ある?
 床をスポーツドリンクで汚す意味ある?
 女が半裸で突っ立てる時点で幾らでも逃げれるってその脳味噌では理解できんのか?
 床に押し倒されてたらまだしも、女と深海の距離は2m近くあると言うのに、幾らでも逃げれるだろうて、逃げずに大声上げるってこの女馬鹿?
 まぁ女にしたら更衣室の惨状見て貰わないと駄目だろうから此処で声を上げざるを得ないのだけど。

 見事に女の思惑にはまり、深海はその日からいじめのターゲットになったのだった。

 まぁザマァしてやるましけどね、と深海は余裕があるが。
 ソレを知って温厚で居られないのはフィルドである。

「フカミちゃん、虐められてるの?」

「暴力は振るわれてないけど虐められてますね」

「はめた犯人誰?」

「言ったらフィルド様殺しにいくでしょ?だから言えませんよ」

「え~フカミちゃん虐める奴に生きてる価値なくない?」

「まぁ価値があるのか無いのか分かりませんが、フィルド様の手を汚して欲しくないんですよ。外交問題とかにもなりますし」

「フカミちゃん酷い…俺の手が汚れる心配じゃなくて、外交の心配するなんて!!」

「だって今更でしょう?」

「?」

「フィルド様の手はとっくに血で汚れてるでしょう?1人や10人増えたところで何も変わらないじゃないですか。だからフィルド様の手が血に染まるのを今更心配してないですよ」

 さらっと深海は答えた。
 その言葉がフィルドにどれだけ突き刺さるかも考えずに。

(フカミちゃん、俺が人殺した事あるの分かっている上で俺に抱きしめられて寝てくれるんだ…血に染まった手でも汚らわしとか思わないんだ…こんな汚れた腕で抱き締められて、安心して熟睡しちゃうんだ。こんな真っ赤に染まった手で触れられて嬉しそうにしてくれるんだ。汚れた俺を可愛いって言って、美味しいご飯作ってくれて、一生傍に居てくれるって誓ってくれてるんだ………)

 今まで感じた事のない高揚感をフィルドは感じた。
 親衛隊の仲間とはまた違う、全てを預けられる存在。
 全てを預けて貰える信頼。
 全てを受け入れてくれる愛する人。

(あ、やばい、泣きそう!!)

 泣いたら「お目目が解けちゃいますよ」何て言って深海が瞳にキスしてくるのが分かっているから、その日フィルドは泣くのを堪えるのが大変であったらしい。

(でもフカミちゃんに気付かれない程度にお仕置きするくらいは良いよね♪)

 深海といる時は子羊ちゃんでも、深海とかかわりがない所では鋭い牙と爪を持つ猛獣に等しいフィルドの怒りは、クロイツの王宮学院に向けられたのであった。
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