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御使い様が誑しに進化しました
【御使い様は学びたい48】
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「フカミちゃんご飯食べれる?」
「お腹痛いのに食欲あって泣きそうです………」
顔が赤い。
少し微熱があるのだろう。
それから少し瞳が潤んでいる。
苦し気に寄せられた眉根が、別の事をしている時の表情のようにも見える。
ゴクリ、とフィルドは唾を飲んだ。
(フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!)
必死に自分に言い聞かすフィルドである。
そんな深海はこのシーズン(月の物)に入ると人肌が恋しくなるらしく、やたらとフィルドに引っ付きたがる。
ルナトーには引っ付きに行かないが。
コレはルナトー相手には警戒心が働いているのかも知れない。
ルナトーは女の子が大好きなのである。
そしてそのストライクゾーンに何故か自分も入っている事を深海は認識している。
なので深海にとって無害=フィルド、有害=ルナトーな訳なのである。
フィルドも十分に下心があるのだが、決して表に出さないので深海からの絶対の信頼をかっている。
むしろフィルドが邪な目で深海を見るよりも、深海がうっとりとした顔でフィルドの瞳を見る時の方が欲情していると言っても過言では無い。
なので高級獣車での旅は深海にとっては快適であった。
毎日フィルドと一緒に寝れるのである。
つまりフィルドより先に起きればフィルドの素顔と寝起きの瞳の見放題だ。
フィルドの眼がお気に入りの深海にとってこれほど美味しい旅も無い。
が続いたのも2日。
深海に月の物が来たのだ。
フィルドの計算通りである。
月の物になってしまえば深海は一気に無力になる。
戦いだけでなく家事的な意味でもだ。
足手まといの自覚があるので深海も我儘も言わないし、皆の言う事に従順である。
「ご飯テーブルまで来れる?」
「すみません、ベッドの方まで持ってきてください………」
相当腹が痛むのだろう。
お腹を抱えて亀のポーズである。
だが食べたい。
女子にとってしんどいのに食欲が増すと言う忌々しいシーズンこの上ない。
「保存食美味しいよ。作ったのがフカミちゃんだから知ってると思うけど」
「作りたて提供できなくてすみません」
「倒れる前にこれだけ作り置き作ったフカミちゃんは凄いよ!ね、だから元気出してね」
フィルドが深海の腰を擦る。
体温の高いフィルドの手で撫でられると腰の痛みが少しマシになる気がする。
大きなフィルドの手は今は深海を安心させる1番のアイテムなのである。
「後でお腹も擦って貰えますか?」
「あ、う、うーん…頑張るね………」
好きな女の子のお腹を撫でる。
下心は封じたまま。
結構な苦行である。
でもまだ16歳の深海に手を出す訳にはいけない。
成人もしていないのだ。
カカンでの成人は18歳。
フィルドはソレを待つ気でいるが、深海の無意識のアプローチのお陰で何時も意思が崩れそうになる。
鳴海の冷たい視線を思い出して耐えているのだが。
「フィルド様、大好きです………」
すりすりと頬を寄せて甘えてくる深海に耐えろと言うのは正に天国と地獄のシャトルラン。
今日もフィルドは己の中の天使と悪魔が戦うのを見守る羽目になるのであった。
〇因みに本日のメニュー
・豚のリエット
リエットとは豚肉を使ったペースト状の保存食。ペーストにするまでに角切り肉をしっかりと煮込み、玉ねぎやベーコンも加わるためうまみや甘みが凝縮されている。ペースト状なので、サンドイッチに野菜と一緒にはさんでもおいしく、のせた後軽くトーストをすると香ばしく仕上がる。
・鮎のコンフィ
鮎を丸ごとオイル煮にすると1週間ほど冷蔵庫で保存でる。コンフィの良いところは、鮎の頭からしっぽまですべてを食べられるようになることと、鮎を漬け込んだココナツオイルも風味がよくなり、パンなどにつけて食べるなどアレンジ食材にできること。
・きのこのマヨ炒め
マイタケやマッシュルームなどその時に手に入るきのこ類をニンニクでソテー、マヨネーズでコクを与えながらニンニクの香りをまろやかにしてくれる。
醤油の風味がするので、和食のおかずとの相性をアップさせることもできるし、パンと合わせてもおいしく食べることができる。
・バゲット
お好きな具材を乗せてどうぞ
全部深海が体調を崩す前に作っておいた保存食である。
まだまだあるのでシーズンが終わるまでは持つことだろう。
味は悪くない。
だが作りたてが1番美味しいものだ。
深海は速く元気になって作りたての美味しいご飯をフィルドに食べて貰いたいなぁと思いながら、痛む腹を擦りながら食事をとるのであった。
「お腹痛いのに食欲あって泣きそうです………」
顔が赤い。
少し微熱があるのだろう。
それから少し瞳が潤んでいる。
苦し気に寄せられた眉根が、別の事をしている時の表情のようにも見える。
ゴクリ、とフィルドは唾を飲んだ。
(フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!フカミちゃんは体調が悪いだけ!)
必死に自分に言い聞かすフィルドである。
そんな深海はこのシーズン(月の物)に入ると人肌が恋しくなるらしく、やたらとフィルドに引っ付きたがる。
ルナトーには引っ付きに行かないが。
コレはルナトー相手には警戒心が働いているのかも知れない。
ルナトーは女の子が大好きなのである。
そしてそのストライクゾーンに何故か自分も入っている事を深海は認識している。
なので深海にとって無害=フィルド、有害=ルナトーな訳なのである。
フィルドも十分に下心があるのだが、決して表に出さないので深海からの絶対の信頼をかっている。
むしろフィルドが邪な目で深海を見るよりも、深海がうっとりとした顔でフィルドの瞳を見る時の方が欲情していると言っても過言では無い。
なので高級獣車での旅は深海にとっては快適であった。
毎日フィルドと一緒に寝れるのである。
つまりフィルドより先に起きればフィルドの素顔と寝起きの瞳の見放題だ。
フィルドの眼がお気に入りの深海にとってこれほど美味しい旅も無い。
が続いたのも2日。
深海に月の物が来たのだ。
フィルドの計算通りである。
月の物になってしまえば深海は一気に無力になる。
戦いだけでなく家事的な意味でもだ。
足手まといの自覚があるので深海も我儘も言わないし、皆の言う事に従順である。
「ご飯テーブルまで来れる?」
「すみません、ベッドの方まで持ってきてください………」
相当腹が痛むのだろう。
お腹を抱えて亀のポーズである。
だが食べたい。
女子にとってしんどいのに食欲が増すと言う忌々しいシーズンこの上ない。
「保存食美味しいよ。作ったのがフカミちゃんだから知ってると思うけど」
「作りたて提供できなくてすみません」
「倒れる前にこれだけ作り置き作ったフカミちゃんは凄いよ!ね、だから元気出してね」
フィルドが深海の腰を擦る。
体温の高いフィルドの手で撫でられると腰の痛みが少しマシになる気がする。
大きなフィルドの手は今は深海を安心させる1番のアイテムなのである。
「後でお腹も擦って貰えますか?」
「あ、う、うーん…頑張るね………」
好きな女の子のお腹を撫でる。
下心は封じたまま。
結構な苦行である。
でもまだ16歳の深海に手を出す訳にはいけない。
成人もしていないのだ。
カカンでの成人は18歳。
フィルドはソレを待つ気でいるが、深海の無意識のアプローチのお陰で何時も意思が崩れそうになる。
鳴海の冷たい視線を思い出して耐えているのだが。
「フィルド様、大好きです………」
すりすりと頬を寄せて甘えてくる深海に耐えろと言うのは正に天国と地獄のシャトルラン。
今日もフィルドは己の中の天使と悪魔が戦うのを見守る羽目になるのであった。
〇因みに本日のメニュー
・豚のリエット
リエットとは豚肉を使ったペースト状の保存食。ペーストにするまでに角切り肉をしっかりと煮込み、玉ねぎやベーコンも加わるためうまみや甘みが凝縮されている。ペースト状なので、サンドイッチに野菜と一緒にはさんでもおいしく、のせた後軽くトーストをすると香ばしく仕上がる。
・鮎のコンフィ
鮎を丸ごとオイル煮にすると1週間ほど冷蔵庫で保存でる。コンフィの良いところは、鮎の頭からしっぽまですべてを食べられるようになることと、鮎を漬け込んだココナツオイルも風味がよくなり、パンなどにつけて食べるなどアレンジ食材にできること。
・きのこのマヨ炒め
マイタケやマッシュルームなどその時に手に入るきのこ類をニンニクでソテー、マヨネーズでコクを与えながらニンニクの香りをまろやかにしてくれる。
醤油の風味がするので、和食のおかずとの相性をアップさせることもできるし、パンと合わせてもおいしく食べることができる。
・バゲット
お好きな具材を乗せてどうぞ
全部深海が体調を崩す前に作っておいた保存食である。
まだまだあるのでシーズンが終わるまでは持つことだろう。
味は悪くない。
だが作りたてが1番美味しいものだ。
深海は速く元気になって作りたての美味しいご飯をフィルドに食べて貰いたいなぁと思いながら、痛む腹を擦りながら食事をとるのであった。
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