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御使い様が誑しに進化しました
【御使い様は学びたい41】
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「あれで金取るとか信じられないです!」
「どうどう、フカミちゃん」
「だって焼いたパサパサの肉に軽く塩振って、カチカチのパンでランチが他国と同じ値段ですよ!良くて1/4ですよあのクオリティは!!」
「流石は軍事国家だね。食に喜びを見出してないわ。まぁ1年前のカカンも大概だったけど」
「カカンはカグウ様が頑張っていました!」
「俺は?」
「勿論フィルド様も頑張ってましたよ」
ニコ、と深海が軽く微笑む。
それだけでフィルドは幸せになる。
不味いランチへの愚痴も吹っ飛ぶ勢いだ。
「武器屋見学は明日します。今日は美味しいものを作りまくって食べまくります!」
「やった~♡」
ぱちぱちぱち
フィルドが拍手する。
本気で嬉しい。
不味いランチへの愚痴は昇華されたが、美味しいものが食べれるなら話は別だ。
口直しがしたい。
それがフカミの手料理なら尚更だ。
ソレにしても深海が金額の事を考えず料理を作るなんて初めてじゃないだろうか?
少なくともこの旅が始まってからは無かったことだ。
それだけ先ほどの店(と言うかフレイムアーチャの食事の不味さ)に怒りな訳である。
「どうせ香辛料も大して無いでしょうし、野菜とか肉とかかって帰りましょう」
「うん、そうだね」
(2人で買い物して同じ家に帰るとか新婚さんみたいだよね~♡)
グイ
フィルドの手がフカミに引かれた。
「こんな大人数の所だとはぐれます。手、繋ぎましょ?」
「よ、よよよよよよよよ喜んで!!」
(うわ~うわ~フカミちゃんの手だ~俺の大好きな手。魔術師の俺よりいっぱいの奇跡を起こす、美味しいものでいっぱいの人を笑顔に出来る特別製の手だ~♡♡♡)
伏くれだった深海の手もフィルドにはご褒美だ。
鳴海を護ろうと強くなろうとした手。
傷つく者のために努力して医療技術を覚えた手。
家族を支えるために美味しいものを作ろうとした火傷の跡もある手。
何時だって深海の手は他人のために動く。
そのせいで己の手が女らしさを無くしても気にしない。
深海は自分の手の形が悪くなるよるも、人が笑っているのが好きな深海の手が、フィルドは大好きだ。
(手を繋いで家に帰るって、益々夫婦みたいだよね、なんてね~)
「こうして手を繋いで同じ家に帰るって、家族みたいですね」
「へ?」
「新婚さんみたいじゃないですか?まぁ俺は男装しているので視覚的にはゲイカップルですけど」
「お、おおお俺も、新婚さんみたいだね、て、思ってたよ!」
「あ、今頭の中にチャーミー〇リーンが流れてる(笑)」
「何、チャーミーなんたら、て?」
「今は俺だけの秘密です」
振り返って微笑む深海の顔が赤いのは、夕日に照らされてるからか深海自身が頬を染めているからか?
このころのフィルドにはまだ判別が付ける事はしなかったが、それでもとても愛おしい映像としてフィルドの記憶のフィルムに刻み込まれるのだった。
「どうどう、フカミちゃん」
「だって焼いたパサパサの肉に軽く塩振って、カチカチのパンでランチが他国と同じ値段ですよ!良くて1/4ですよあのクオリティは!!」
「流石は軍事国家だね。食に喜びを見出してないわ。まぁ1年前のカカンも大概だったけど」
「カカンはカグウ様が頑張っていました!」
「俺は?」
「勿論フィルド様も頑張ってましたよ」
ニコ、と深海が軽く微笑む。
それだけでフィルドは幸せになる。
不味いランチへの愚痴も吹っ飛ぶ勢いだ。
「武器屋見学は明日します。今日は美味しいものを作りまくって食べまくります!」
「やった~♡」
ぱちぱちぱち
フィルドが拍手する。
本気で嬉しい。
不味いランチへの愚痴は昇華されたが、美味しいものが食べれるなら話は別だ。
口直しがしたい。
それがフカミの手料理なら尚更だ。
ソレにしても深海が金額の事を考えず料理を作るなんて初めてじゃないだろうか?
少なくともこの旅が始まってからは無かったことだ。
それだけ先ほどの店(と言うかフレイムアーチャの食事の不味さ)に怒りな訳である。
「どうせ香辛料も大して無いでしょうし、野菜とか肉とかかって帰りましょう」
「うん、そうだね」
(2人で買い物して同じ家に帰るとか新婚さんみたいだよね~♡)
グイ
フィルドの手がフカミに引かれた。
「こんな大人数の所だとはぐれます。手、繋ぎましょ?」
「よ、よよよよよよよよ喜んで!!」
(うわ~うわ~フカミちゃんの手だ~俺の大好きな手。魔術師の俺よりいっぱいの奇跡を起こす、美味しいものでいっぱいの人を笑顔に出来る特別製の手だ~♡♡♡)
伏くれだった深海の手もフィルドにはご褒美だ。
鳴海を護ろうと強くなろうとした手。
傷つく者のために努力して医療技術を覚えた手。
家族を支えるために美味しいものを作ろうとした火傷の跡もある手。
何時だって深海の手は他人のために動く。
そのせいで己の手が女らしさを無くしても気にしない。
深海は自分の手の形が悪くなるよるも、人が笑っているのが好きな深海の手が、フィルドは大好きだ。
(手を繋いで家に帰るって、益々夫婦みたいだよね、なんてね~)
「こうして手を繋いで同じ家に帰るって、家族みたいですね」
「へ?」
「新婚さんみたいじゃないですか?まぁ俺は男装しているので視覚的にはゲイカップルですけど」
「お、おおお俺も、新婚さんみたいだね、て、思ってたよ!」
「あ、今頭の中にチャーミー〇リーンが流れてる(笑)」
「何、チャーミーなんたら、て?」
「今は俺だけの秘密です」
振り返って微笑む深海の顔が赤いのは、夕日に照らされてるからか深海自身が頬を染めているからか?
このころのフィルドにはまだ判別が付ける事はしなかったが、それでもとても愛おしい映像としてフィルドの記憶のフィルムに刻み込まれるのだった。
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