134 / 161
御使い様が誑しに進化しました
【御使い様は学びたい37】
しおりを挟む
「フカミちゃんお薬飲める?」
「ん~飲ませて下さい………」
駄目だ、半分眠っている。
が、飲ませない訳にはいけない。
此処に体温計があったら深海の身体の温度は40℃を越えているのが確認できたであろう。
まぁ深海のバッグに水銀性の体温計はあるのだが、フィルドはそれを知らなかったので仕方ない。
それに熱の温度が分かったところでフィルドは何をすればいいのか分からないし、知らない方が余計な負担を精神にかけず良い方向に向いているかもしれない。
「ん~~~~フカミちゃんごめんね!!」
深海の口を指でこじ開けて、口の奥に熱冷ましの錠剤を放り込む。
舌の上に乗せるようにして、喉の奥に張り付かないように慎重にした。
そしてフィルドは自分が水を口に含み、深海に唇を重ね、口内の水を深海の口内に流し込んだ。
ゴクリ、と深海の喉が鳴る。
きちんと飲めたようである。
フィルドはほっ、と息を吐いた。
(フカミちゃんの唇柔らかかった…こんな時に不謹慎だけど、フカミちゃんを1人占め出来るこの機会、少し嬉しいかも………)
フィルドは己の唇を指でそっ、となぞり頬を赤く染めた。
まるでファーストキスをした直後の乙女のような仕草である。
まぁフィルドは乙女ではなく乙男なのだが。
チャラ男を乙男に変えてしまった深海の誑し能力は物凄いかも知れない。
「ん…さむ、い…………」
毛布を着せているのに深海の身体がガタガタと震えている。
高熱のせいで外気が寒く感じるのだ。
毛布の下の深海は今は綿のシャツとハーフパンツを着用している。
スポブラにボクサーパンツだけに己からなった深海にフィルドが着せたのである。
カカンで拵えたものだ。
だが他の服は旅用、外着用。
寝る時に着るには向いていない。
「………下心無いから許してね、ごめんねフカミちゃん」
フィルドは深海のベッドに入ると深海を抱きしめた。
そして魔術で己の体温を高くする。
ポカポカとフィルドの身体が温まり、深海が本能的にのそ温もりを求めた。
フィルドに抱き着いてきたのである。
(~~~~~フカミちゃん柔らかい!気持ちイイ!いい匂いする!でも今は下心は封印!完全封印!!これは看護、これは看護!!)
フィルドは己の愚息が反応しないように、深海の身体の感触を出来るだけ味合わないように意識した。
チャラ男だったくせに随分と紳士的な男になったものである。
それもこれも深海の影響。
フィルドは深海にだけは嫌われたくない。
傍に居たい。
一緒に居て、いつも笑っていて欲しい。
その為なら自分の煩悩だって封印する。
だって深海は天がフィルドにくれた、2つとない宝物だから。
すりすりと胸板に頬を擦り付けられても、欲望より保護欲が勝った。
先ほどまで深海の眉間に刻まれていた皺が無くなっている。
随分と今は心地が良いのだろう。
もしかしたら薬が効いて来ているのかも知れない。
睫毛がふるりと震え、深海の瞼が上がる。
そしてその視線はフィルドの双眸を捉えた。
「ふぃるどさまだ…ぎゅ、てしててくださいね。そばにいててくださいね…いいにおいで、あんしんする、おれのだいすきな、ふぃるどさまのうでのなかだぁ……………」
そしてふにゃりと力の抜けた笑顔を浮かべると、深海はまたすやすやと眠りについた。
「フカミちゃん、それ、反則だよ………」
とんでもない告白をされて、特別な笑顔を見て、フィルドはこの夜は欲望との我慢の戦だと覚悟を決めた。
自分がどれだけ我慢をしなくてはいけないか分かっていて、それでも深海から離れると言う選択肢はフィルドには存在しなかった。
「ん~飲ませて下さい………」
駄目だ、半分眠っている。
が、飲ませない訳にはいけない。
此処に体温計があったら深海の身体の温度は40℃を越えているのが確認できたであろう。
まぁ深海のバッグに水銀性の体温計はあるのだが、フィルドはそれを知らなかったので仕方ない。
それに熱の温度が分かったところでフィルドは何をすればいいのか分からないし、知らない方が余計な負担を精神にかけず良い方向に向いているかもしれない。
「ん~~~~フカミちゃんごめんね!!」
深海の口を指でこじ開けて、口の奥に熱冷ましの錠剤を放り込む。
舌の上に乗せるようにして、喉の奥に張り付かないように慎重にした。
そしてフィルドは自分が水を口に含み、深海に唇を重ね、口内の水を深海の口内に流し込んだ。
ゴクリ、と深海の喉が鳴る。
きちんと飲めたようである。
フィルドはほっ、と息を吐いた。
(フカミちゃんの唇柔らかかった…こんな時に不謹慎だけど、フカミちゃんを1人占め出来るこの機会、少し嬉しいかも………)
フィルドは己の唇を指でそっ、となぞり頬を赤く染めた。
まるでファーストキスをした直後の乙女のような仕草である。
まぁフィルドは乙女ではなく乙男なのだが。
チャラ男を乙男に変えてしまった深海の誑し能力は物凄いかも知れない。
「ん…さむ、い…………」
毛布を着せているのに深海の身体がガタガタと震えている。
高熱のせいで外気が寒く感じるのだ。
毛布の下の深海は今は綿のシャツとハーフパンツを着用している。
スポブラにボクサーパンツだけに己からなった深海にフィルドが着せたのである。
カカンで拵えたものだ。
だが他の服は旅用、外着用。
寝る時に着るには向いていない。
「………下心無いから許してね、ごめんねフカミちゃん」
フィルドは深海のベッドに入ると深海を抱きしめた。
そして魔術で己の体温を高くする。
ポカポカとフィルドの身体が温まり、深海が本能的にのそ温もりを求めた。
フィルドに抱き着いてきたのである。
(~~~~~フカミちゃん柔らかい!気持ちイイ!いい匂いする!でも今は下心は封印!完全封印!!これは看護、これは看護!!)
フィルドは己の愚息が反応しないように、深海の身体の感触を出来るだけ味合わないように意識した。
チャラ男だったくせに随分と紳士的な男になったものである。
それもこれも深海の影響。
フィルドは深海にだけは嫌われたくない。
傍に居たい。
一緒に居て、いつも笑っていて欲しい。
その為なら自分の煩悩だって封印する。
だって深海は天がフィルドにくれた、2つとない宝物だから。
すりすりと胸板に頬を擦り付けられても、欲望より保護欲が勝った。
先ほどまで深海の眉間に刻まれていた皺が無くなっている。
随分と今は心地が良いのだろう。
もしかしたら薬が効いて来ているのかも知れない。
睫毛がふるりと震え、深海の瞼が上がる。
そしてその視線はフィルドの双眸を捉えた。
「ふぃるどさまだ…ぎゅ、てしててくださいね。そばにいててくださいね…いいにおいで、あんしんする、おれのだいすきな、ふぃるどさまのうでのなかだぁ……………」
そしてふにゃりと力の抜けた笑顔を浮かべると、深海はまたすやすやと眠りについた。
「フカミちゃん、それ、反則だよ………」
とんでもない告白をされて、特別な笑顔を見て、フィルドはこの夜は欲望との我慢の戦だと覚悟を決めた。
自分がどれだけ我慢をしなくてはいけないか分かっていて、それでも深海から離れると言う選択肢はフィルドには存在しなかった。
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる