聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい29】

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「さてそろそろこの国を出ましょうか?」

「「はい?」」

 深海の言葉にフィルドとルナトーの声がハモった。

 本日の朝食の席である。
 今日も深海の手作りだ。

 ☆本日の朝食☆
 ・チーズとハムのホットサンド
 作り方
  1食パンは、中央に浅く、厚みの1/3程度まで切り目を入れパンを折りやすくしておく。
  2食パンを裏返し、表面にマヨネーズ大さじ1/2程度を塗る。
  3スライスチーズ1枚、ハム1枚をのせ、黒胡椒をふる。
  4切り目に沿ってパンを折り曲げて、上から押して落ち着かせる。同様に残り1コも作る。
  5大きめのフライパンを中火で熱し、温まったら弱火にしてバター5gを溶かす。
  65に4のパンを並べ入れ、その上に箔をかぶせる。
  7パンを入れたフライパンより小さい直径の鍋で、上からギューギュー押さえて焼く。
  8焼きムラができないように時々パンを動かし、均等な厚さになるように中火で2分焼く。
  9よい焼き色がついたら裏返し、パンの隙間に小さくちぎったバター5gを落とす。
  10さらに同じ要領で中火で2分焼いていき、薄く平らになって両面が焼けたら器に盛る。
  11ミニトマトとイタリアンパセリを添える。

 ・卵のグリーンパセリサラダ
 作り方
  1卵は強火で15分固茹でにし、2cm角に切る。
  2ブロッコリーは小房に分け、耐熱皿に重ならないようにならべる。
  3水で濡らしたペーパータオルをかぶせる。
  4蒸して1分30秒加熱する。
  5取り出し粗熱をとる。
  6ボウルに酢、塩、砂糖、胡椒を入れてよく混ぜ合わせる。
  76にサラダ油を少しずつ加えながら混ぜ合わせる。
  87に卵、ブロッコリー、パセリを加え、さっくりと混ぜ合わせる。

 ・マッシュルームとベーコンのスープ
 作り方
  1マッシュルーム、玉ねぎは薄切りにする。
  2ベーコンを1cm幅に切る。
  3鍋に水を入れ、中火にかける。沸騰したら玉ねぎ、マッシュルーム、ベーコンを入れる。
  4玉ねぎに火が通ったら、ブイヨン、塩を加えて混ぜる。
  5器に4を注ぎ、パセリを散らして完成。

 ・フローズンベリーヨーグルト
 作り方
  1ヨーグルトに砂糖をいれて混ぜる。
  2牛乳、ベリーミックスをいれてよく混ぜる。
  3冷凍boxにいれ、2時間ほど凍らせる。
  4固まりかけたらフォークでほぐして混ぜて完成!

 これらがワンプレートに綺麗に盛られている。
 色使いも抜群。
 視覚と嗅覚を刺激されて目覚めたての胃袋もキューキュー鳴きだす。
 スープとデザートは小さな皿に装われて、ワンプレートに一緒に盛り付けられている。

 3人で「いただきます」をして食べだして、深海が思いついたように言ったのが上記の台詞である。

「え、フカミちゃん良いの?まだまだ知りたい事あるんじゃないの?」

「まぁないと言えば嘘になりますが、今知ってもカカンで試せない事しか疑問は残していかないんで」

「と言う事はカカンに持ち込める文化は全部覚えたって事?」

「まぁそうなりますね。俺、記憶力良いんですよ」

 記憶力が良いとか言う話じゃない気がする。
 フィルドとルナトーのは開いた口が塞がらない。

「それにカカンの方が医療面、衛生面、環境面は優れていますしね」

「あ~それは確かにそうね」

 ガフティラベル帝国にはまだまだ貧民街が多い上、医療知識が発達していない。
 清潔の観念が緩いのだ。
 これは深海が令和から持ってきた観念をカカンに取り入れたからカカンが特別に良いのであって、大陸の他の国においても同じことであろう。
 せめて清潔の観念と医療の間違った知識を正したいが、深海はカグウの小姓である。
 帝国の王に進言できる立場ではないし、深海もソレは熟知している。

「まぁ俺に出来るのはカカンを良い国にする手伝いをして、他の国にも見習って貰う事位ですよ」

「フカミちゃんの場合手伝うの域越えてんだけどね」

「で、この国での1番の収穫は何なのフカミ君♫」

 ルナトーがテーブルから乗り出す。
 無邪気なルナトーは可愛い。
 男装していても可愛い。
 うっかりルナトーに見惚れて頬を赤くした後、咳払いをしてなかった事にした冒険者たちには悪い事をした気になるのは何故だろうか?
 彼らが道を踏み外さないことを祈るばかりである。

「まぁやっぱりスパイスを主に食事文化ですね。和食がいただけるのは俺的には大収穫です!魚料理には自信あるので、カカンでも魚を食べれるようにしたいですね!まずの問題が運用でしょうか?」

「そーね、俺でも生き物は魔石に閉じ込めて運べないわ」

「そうなると川を使うしか無いですかね?でも川より河が近くに流れてくれると運河ルート的にはやり易いんですよね?そうなると海洋産物運ぶ運用の技術が要りますし船が必要になりますかね?
船に強い逸材、カカンで発見できますかね?こうなるといっその事中世ヨーロッパに習って海賊とでも手を組みたいくらいですね。それから――――」

「ストップフカミちゃん!ルナトーちゃんがショートしてる!」

「あ、すいません、考えに没頭していました」

「頭良い人って自分の世界に入るよねぇ………」

「やだなフィルド様、頭がいいと言うのはカグウ様やチノシス様の事を言うんですよ?俺なんてマメ知識が好きなただの一学生ですって」

((いや、十分普通じゃない………))

 フィルドとルナトーの心の声がユニゾンした。
 意外と仲の良い2人である。

「じゃぁ今日用意して明日旅立つ?」

「そうですね、お弁当も作りたいですし携帯食も作りたいです。出るなら明日が良いですね」

「じゃぁ今日はその買い物しましょ♡」

「次に向かうのは…フレイムアーチャを抜けないといけない感じかな?あの国俺あんまり好きじゃ無いんだよね~」

「フィルド様でも嫌いな物あるんですか?」

「う~ん軍事国家フレイムアーチャ。クロイツが法術の代わりに科学技術の医療が発展してるのに比べて、フレイムアーチャは魔術の代わりに火器兵器が発達してる感じ、て言えばわかる?」

「…………それは、血生臭そうな国ですね」

「実際し血生臭いの!成人後の就職先は軍隊か傭兵か冒険者の3択しかない潤いのない国フィルドちゃん行きたくなーい!」

「そんな可愛い言い方されると俺の中のS心に響くんですが?」

「フカミちゃんのエッチィィィ!」

「はいはい、遊んでないで!通らないとクロイツ行けないんでしょ?じゃぁ通るしかないでしょ!」

「大事な女の子をそんなところに連れて行きたくない男心察して思春期の女の子たち?え、ちゃんと女の子だよね?俺間違ってないよね?最近2人の男ぶりが板につきすぎて心配よフィルドちゃん!!」

「そうですね、カカンにとって大事な巫女のルナトーさんを危険なところに連れて行きたくは無いですよね」

((やっぱり意味わかってなかったか………))

「ルナトーさん、ちゃんと俺が守りますからね」

「じゃぁフカミ君は僕が守ってあげるからね♡」

「………フィルドちゃん仲間外れにしないでよ」

 ちょっぴり朝からしんみりさせられるフィルドの姿が有ったとか無かったとか。
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