聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい23】※フィルドSide4

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 どうしよう距離が近い。
 無茶苦茶近い。
 裸の方が触れ合っている。
 並んで座っているので当然である。
 自分は背中合わせで入ろうと言ったのだ。
 だが深海は「それじゃぁお話しにくいじゃないですか」と笑顔で言うので対面を無しにして貰い、せめて、と隣同士に座る事になった。

 温泉の湯が白濁で良かった。
 本当に良かった。
 これで臨戦態勢の己の息子さんを深海にコンニチハさせないで済む。

 そうフィルドの息子さんは臨戦態勢である。
 何時でも中に入れるぜ!と腹に付きそうな程ビンビンだ。
 何処の中に入るか、て?
 当然深海の中に入る気満々の我儘息子さんなのである。
 息子さんは深海以外は「チェンジで」の信念の持ち主である。
 別の女には反応もしなくなった。
 最近では本体の右手に文句すら付けそうな勢いだ。
 
 俺を早くあるべき場所に収めろと息子さんが五月蠅い。
 ドクドクと血流が巡っているのが分かる。
 熱が下半身に集まって正直フィルドは辛い。
 ただでさえ自家発電で体が熱いのに、現在熱湯風呂中。
 温度は42℃くらいだろうか?
 何時もなら心地良い湯加減が今日だけは肌を焼く熱湯の如く熱い。

「フィルド様、さっきから会話が疎かなんですが…調子悪いです?それとも風呂では喋りたくない派でした?」

 深海がフィルドの顔を覗き込む。

 近い近い近い!!!

 濡れた髪が色っぽい。
 湯であったまったからか赤い頬がエロイ。
 唇も艶々している。
 濡れた肌を白濁の湯が伝う。

 エロイ。

「だ、だだだだだだだだだだいじょび!!」

「いや、大丈夫じゃないでしょ?何考えてるんですか?何か心配事でも?」

 ああああああああああ近い!
 頬に深海の手の感触。
 優しく甲の方で撫でられる。
 深海特有の変わった愛撫の仕方だ。
 でもそれが妙に気持ちが良いから困る。

「フィルド様、真っ赤でかわいー♡」

 深海の声の調子が変わった。
 
「ねぇ、お目目見せて下さいよ、今どんな瞳をしているんですか?泣きそうな目?困ってる時のフィルだ様の目、俺大好きですよ♡」

 深海の瞳に色が宿っている。
 これは知っている。
 鳴海からも注意されていた事態だ。
 深海が、発情期時入っている!

 そう言えば昨日いくらいからやけに甘いものを良く食べていた。
 その時に気付くべきだったのだ。
 深海は月の物が近いとホルモンバランスが崩れて情緒が不安になる。
 異様に甘いものを好み、好みの者がいると発情するのだ。
 ちなみに本人に発情の自覚無し。
 なので、今のフィルドには大変困る。

「フカミちゃんタンマ!待って!前に来たら駄目!あぁっ、髪かき上げたらダメ!目、見ないでぇ!!」

「ふふ、泣きそうなフィルド様、かわいー♡」

 浮いてる!
 胸浮いてる!!
 巨乳って水に浮くんだね!
 でも今はその知識欲しく無かったよ!!

「ちょっ、手上げたらダメ、腕首に回さないでぇぇぇぇっ!!」

 深海がフィルドに抱き着いて首に腕を廻す。
 そしてチュ、チュ、とフィルドの首に唇を落とす。

「あ、気持ちイイ、じゃなくて、ホントに駄目だって―――――っ!!」

 少し深海の上半身が持ち上がったから白濁した湯の中から深海の胸が零れ落ちそうなのだ。
 このままで胸が丸見えになってしまう。
 そうなればフィルドはこの白濁の湯に、粘着質な白濁液を放ってしまう事だろう。
 三擦り半もしてないのに情けない事この上ないし、この先この温泉に入りに来る人や動物たちに非常に申し訳ない。
 フィルドは耐える事しかできない。
 こうなった深海を止める術をフィルドは持たない。
 惚れた弱みだ。
 それにフィルドも成人男子。
 好きな子の裸が見たいのは本能だ。
 いくら理性で抑えていても、本能が深海を止めようとしないから困る。

「泣いちゃうんですか?フィルド様、可愛いですね♡泣いたらその涙、美味しそうだから俺が全部舐めとってしまいますね、その綺麗な目から流れるものは全部俺のモノなんで、温泉にすら涙1粒も分けたりしないですよ♡」

「あぁぁぁぁぁぁ言葉責めとか高等テクニック何処で覚えて来たの16歳ぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 もうフィルドに助けは居ない。
 きっと見張り番の雌オオカミは今のこの状況を覗いて見ているに違いない。 
 そして燃料としてネタとしてネームを切っているところだろう。
 味方とは言えない。 
 寧ろ敵である。

「お、」

「お?」

「お腹痛いの…………」

 絞り出した1事がそれだった。

「お腹痛いんですかフィルド様?撫でましょうか?いったん温泉上がりましょうか?」

「撫でなくても大丈夫だから!いったん温泉上がらせて?」

「気付かずにすみません、痛かったですね、可愛そうなフィルド様」

 零れ落ちそうだった涙を舌で掬い取って、深海はフィルドから離れた。

「裸見られるの恥ずかしいから…服着るまで後ろむいてて…………」

 て、俺は何処の乙女なんだよ――――っ!!!

 自分の乙女な発言に恥ずかしさが天元突破である。
 だがその乙女なところが深海のツボにはまったらしい。

「分かりました、無理しないでしんどかったら何時でも呼んでくださいね」

「うん、ありがとフカミちゃん」

 ミッションコンプリート……………。

 フィルドは服を着こむと真っ白に燃え尽きた。
 正気に戻った深海も湯から出て服を着る。
 そしてフィルドの世話を甲斐甲斐しく焼き出した。

「フィルド様、上手く逃げたわね…今から美味しい展開になりそうだったのに………次回に期待するしかないわ、私の新刊をまっている購入して下さる読者の方達の為にも!!!」

 ルナトーが何故か見張り番の位置から離れた場所に居たことに深海は首を捻ったたが、まぁ女の子だし色々あるのだろうと納得した。
  
 こうして皆温泉を堪能して帝都に取った宿に帰宅することになったのだった。
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